魚沼市「権現堂山」登山 2020年 盛夏

新潟県側の沿線にあり、列車の車窓から見える特異な稜線を持つ“権現堂山”(下権現堂山897m/上権現堂山 998m)に登るため、JR只見線を利用し魚沼市に向かった。

 

観光鉄道「山の只見線」”を目指している只見線の沿線には、新潟県側にも多様な山が連なっている。唯一の沿線自治体である魚沼市観光協会の「登山」ページには、8峰が紹介されている。

只見線沿線は、只見町にも登山口のある浅草岳(1,585.5m)をはじめ、守門岳(1,537.2m)、鳥屋ヶ峰(681m)、権現堂山(下権現堂山897m/上権現堂山998m)、唐松山(1,079.3m)の5峰。他に越後三山の一つとして知られる越後駒ケ岳(2,002.7m)、電源開発㈱奥只見発電所・ダムの西側にそびえる荒沢岳(1,969m)、平ヶ岳(2,140m)となっている。 

この夏、只見町の「奥会津ただみの森キャンプ場」に長期逗留するにあたり、魚沼市内の只見線沿線の山を登りたいと考え、2年前に只見沢(田子倉)登山口から登頂している浅草岳を除いた沿線4峰から、藪神駅から登山口が近い“権現堂山”を選んだ。  

“権現堂山”は「下権現堂山」と「上権現堂山」を合わせた総称で、只見線の列車から特徴的な稜線が見えていた事もあり、気になっていた山だ。  

 

今日の旅程は次の通り。

・「奥会津ただみの森キャンプ場」の最寄り・只見駅から、只見線の列車に乗って藪神駅に移動

・藪神駅から輪行した自転車で3.7km離れた長松登山口に向かう

・長松戸隠神社から下権現堂山山頂を目指し、山頂から只見線の列車を撮影

・「下権現堂山」山頂から「上権現堂山」山頂に向かう

・「上権現堂山」山頂から折り返し、途中、中越分岐から下山し長松登山口に戻る

・下山後、自転車に乗って藪神駅方面に戻り、駅付近を通過する只見線の列車越しに「権現堂山」を撮影する 

・藪神駅から只見線の列車に乗って只見駅に移動し、「奥会津ただみの森キャンプ場」に戻る

 

*参考:

・魚沼市観光協会:秘境を行く! 只見線 

・新潟県観光協会:にいがた観光ナビ「JR只見線」 

・BSN新潟放送公式チャンネル:【そらなび ~にいがたドローン紀行~】「第73回「只見線(魚沼市)」2020年2月29日放送」 

・魚沼市 だんだんど~も只見線沿線元気会議:Facebook URL: https://www.facebook.com/dandandomotadamisen

 ・福島県:只見線 ポータルサイト

・拙著:「次はいつ乗る?只見線」カテゴリ ー只見線沿線の“山”(登山/トレッキング)ー / ー只見線の夏

 

 


  

 

今朝、只見線の始発列車に乗るために、朝食を済ませ逗留地である「奥会津ただみの森キャンプ場」を出発。天気予報は曇りだったが、一部青空が見え、陽射しも強くなってきた。

 


只見駅に到着。駅前には会津川口駅からやってきた代行バスが付けられ、折り返しの運行にそなえていた。 

駅頭で自転車を輪行バッグに入れ、構内に入り窓口で切符を購入、すぐにホームに向かった。

  

駅舎を抜けると、小出からやってきた、折り返し運転の列車が待機しているのが見えた。

 

先日、「平成23年7月新潟福島豪雨」被害で分断された西側、只見~小出間を走っていたキハ48系が引退し、車両はキハ110系に変わっていた。一瞬寂しく感じたが、キハ110系はJR東日本の主力気動車で、方々で見かけるため違和感はなかった。

  

ホームの東側、空きスペースは会津川口~只見間の復旧工事の資材置き場になっていて、コンクリート製の枕木が数多く積まれていた。

 

レールが並べられ、路盤に敷き詰められるバラス(砂利)も山積みされていた。

  

9:30、小出行きの列車が只見を出発。乗客は先頭車両に6名、私が乗り込んだ後部車両は7名だった。

この時間の始発列車とは遅いが、駅間20kmを超え、県境を越える路線ということを考えれば、不思議ではない。また、豪雨被害前は、会津若松6時00分発の列車が、この列車だった。 

 

藪神までの運賃は860円。

 


只見を出発すると左手に電源開発㈱只見発電所・ダムの洪水吐と、その奥に、電源開発㈱田子倉発電所・ダムの躯体が見えた。

 

列車は快調に進んだ。キハ110系は、キハ48系のような重低音のエンジン音はせず、加減速もスムーズで、違いは明らかだった。 

  

 

長い田子倉トンネル(3,712m)を抜け、余韻沢橋梁を渡ると、前方に周囲の景色と一体化した国道252号線のスノーシェッドが見えた。

 

余韻沢橋梁上からは、田子倉(ダム)湖を中心部の方まで見通すことができた。ユネスコ「只見エコパーク」内の自然美だ。

 

9:52、田子倉駅跡を通過した列車は“会越の国境”となる六十里越トンネル(6,359m)に入った。トンネルの序盤はやや上りだが、県境付近で下りになり、列車は静かに暗闇の中を進んだ。 

 

 

 

 

 

9:58、トンネルを抜けると、列車は短いスノーシェッドを潜りながら、末沢川と交差を繰り返し進む。福島県側とは全く違う風景が車窓から見えた。

  

 

第五平石川橋梁を渡り、列車は、新潟県最初の駅となる大白川にゆっくりと入っていった。

  

列車は、その後、入広瀬上条越後須原魚沼田中越後広瀬で停発車を繰り返し、乗客も徐々に増えていった。

  

 

 

10:23、終点・小出のひとつ手前の藪神に到着。下車し、列車を見送った。

 

さっそく、自転車を組み立て、出発。藪神駅の標高は105m。

 

まずは、“権現堂山”登山を終えた後、この山を背景に列車を撮影する場所を特定するため、周辺を探った。

事前にGoogleMap®で調べていた事もあり、第二押切踏切付近が良いと思い、この周辺からシャッターを切る事に決めた。線路越しに、「下権現堂山」と「上権現堂山」が“双子山”のように並び、綺麗な稜線が見られる場所だった。

列車の通過は16時46分頃。6時間後ということで、この時点では時間までにここに着けるだろうと考えたが...。 

  

 

この後、コンビニに立ち寄ってから昼食を調達し登山道の入口となる、3.7km先の長松戸隠神社に向かった。 

県道417号線→県道70号線→県道501号線と進む。緩やかな上り坂を、正面に「下権現堂山」(左)、「上権現堂山」(右)を見ながら自転車をこぎ続けた。

只見駅を出発する時は気にしなかったが、藪神駅を降りた直後から強い陽射しが降り注ぎ、気温が刻一刻と上昇している感覚があった。魚沼地方は曇り時々晴れの予報だったため、この暑さは想定外だった。

 

 

11:07、県道の幅が狭まり住宅が途絶え、田畑の間を進むようになると、“権現堂山”もだいぶ近づいたように感じた。

 

水遊びをして楽しむ、子ども達の歓声が響き渡る戸隠渓流歴史公園の一画、小黒川を眺めながら一休み。その後、ここから坂が急になっている事もあり、自転車を押して進んだ。

  

 

 

11:15、長松戸隠神社の駐車場に接した権現堂山登山口に到着。駐車場には4台の車があり、登山者がいる事に安心した。

“権現堂山”には、この長松登山口の他、魚沼田中駅に近い清本登山口と、上権現堂山に近く唐松山(1,079.3m)の登山口にもなっている手ノ又登山口の三箇所がある。

  

“水清の丘”と名付けられた広場は雰囲気が良く、水道やトイレ(水洗)もあった。

私は、ここの日陰に自転車を停め、ペットボトルに水を補給してから、神社脇にある登山口に向かった。 今日は、熊鈴と笛を忘れてしまい、登山中は音楽を流し、声を出して熊に私の存在を気付かせなければならなかった。不安だったが、他の登山客がいる事を安心材料にすることにした。

  

11:29、一礼をしてから、神社の赤鳥居をくぐり抜けた。標高は216m。


直後に、神社に続く石段を登る。

 

ウォーミングアップにはきつい100段の階段を上り、戸隠神社の拝殿に向かって正礼し、登山の無事を願った。

 

 

 

拝殿前を右に少し進むと、巨大な権現堂山登山案内板と鐘があった。

11:34、“権現堂山”登山を開始。 

今回の計画では、13時11分に小出駅を出発する只見線の列車が、藪神駅付近を通過する瞬間を下権現堂山頂上から撮影したいと考えていた。水清の丘にあった案内板には、頂上まで100分と書いてあったが、約90分で登らなければならない。気を引き締めて、登山道に臨んだ。

  

この直後、権現堂山登山口と書かれた標杭の脇を通り、階段を上った。

 

まもなく分岐に到着。直進すると、「下権現堂山」と「上権現堂山」の間の稜線上にある“中越の分岐”にたどり着くという。今回は「上権現堂山」からの下山で、この登山道を使う計画を立てていた。

 

この場では、躊躇なく、左側に入り、丸太で土留めされた階段を登った。

登山道道案内は、地元の「コミュニティ協議会権現堂」(コミ協ごんげん)が設置したもので、この後に現れた合目を示す標杭も同会によるものだという。見やすく、金属製ということで熊の攻撃を受けておらず、6年を経ても損傷が見られなかった。福島県側の只見線沿線の山々でも参考になるのではないかと思った。

  

しばらく登山道は、土の地面で段差が付けらているなど、歩き易い区間が続いた。

  

 

11:41、一合目に到着。“業の秤”と表示された標杭があった。

 

標杭の側に行き、景色を見る。1合目にも関わらず開けた光景という事で、この先が期待できた。

  

  

この先、しばらく灌木の間に登山道が続き、陽射しが容赦なく全身を照り付けた。思えば、真夏の登山は25歳の富士登山以来で、体力的に大丈夫かと不安になった。 

 

足元には小石が多く転がっていたが、特に足を取られる事もなく、進む事ができた。

 

時折、枝や丸太が鉄筋で固定され、歩き易い足場を作っていた。有難かった。

  

  

11:49、二合目に到着。

 

振り返ると、1合目から標高が上がった事が、はっきりとわかる景色になっていた。 

  

 

11:55、三合目に到着。

 

ここでも振り返り、景色を見る。小出駅などの魚沼市の市街地が、はっきり見えるようになってきた。

 

  

12:05、雲が陽射しを遮る中、四合目に到着。前方に目指す下権現堂山の山頂が見えた。

 

ここで振り返ると、灌木が視界を邪魔る事無く、きれいに麓の景色を見る事ができた。

  

再び、登山道に強い陽射しが降り注ぐようになり、辟易してしまったが、まもなく登山道は小高い木々に囲まれるようになった。『助かったぁ』と心底思いながら、足を進めた。 

ただ、木々に囲まれた空間に入ると、今度は熊の心配が出てきた。気温の高い日中は行動することは少ないと言われているが、『今日は出てきませんように!』と祈りながら足を進めた。 

  

 

12:17、五合目に到着。ここでは後ろを振り返っても、木々に遮られ、麓の景色は見られなかった。

  

 少し進むと、前方から若い男性が下山してきて、すれ違った。 

続いて50代と思われる男性ともすれ違った。

このルートは、GoogleEarth®でも分かるように、実は1合目から4号目付近まで、登山道は灌木の間にあるということで顕わになっている事もあり、下山でこのルート使った場合、刻一刻と変わる麓の景色を見る事ができる。9合目付近でも二人の下山者とすれ違ったが、おそらく、景色を見ながら山を下りようとする登山者が多いのだろうと思った。

   

この後、登山道は美しい緑の空間を創るブナ林の中に伸びていた。暑さでバテ始めた心身が、癒された。

  

 

12:33、ブナ林の中にある六合目に到着。 

 

 

12:41、再び登山道が顕わになろうとした頃、七合目に到着。強い太陽の光が、一気に体温を上げたような気になった。

  

この先、登山道は西から北に進路が変わり、『おやっ』と思っていると、目の前に水場が現れた。 

 

弥三郎清水だった。事前に登山道の情報を見ていたが、この存在は記憶に残っていなかった。ペットボトルの水も1/3以下になり、心配になっていただけに、助かった。

“弥三郎”とは、旧広神村の民話「弥三郎ばさ」に由来する名だ。*参考:広神商工会「権現堂山の登山と民話」 

  

 

弥三郎清水を出発し登山を再開。直後にヒモ場の急坂になった。

 

ヒモ場の直後はハシゴ場。大岩を越えるために設置された木製のものだった。

この登山道では、ヒモ場とハシゴ場はここだけだった。 

  

 

 

12:53、八合目に到着。

 

ここでは、南に踏み固められた道があり、その先は大きな岩の平場になっていた。

 

この岩の上に立ち、景色を見て、絶句。素晴らしい風景が眼下に広がっていた。

登山者の中には、頂上より、ここからの眺望を推す方も多いと言われている。 

  

 

13:02、九合目を通過。13時11分小出発の列車の姿を撮る事ができると、ここで安心する事ができた。

   

徐々に傾斜が緩くなった登山道を進み、神湯方面への分岐を過ぎて、小さな祠の前で一礼し、先を急いだ。

  

 

まもなく、前方の空が大きく開け、木製の看板が一部見えた。

  

 

 

13:08、「下権現堂山」山頂(897m)に到着。目標の13時11分まで、ギリギリ間に合う事ができた。

途中、強い陽射しと気温の上昇で、間に合わない事も覚悟したが、一時の曇り空と弥三郎清水に助けられ、何とか時間までに登頂できた。

  

山頂は開けた空間で、気持ちのが良かったが、平場からの眺望は良くなかった。

 

ただ、南側の大岩に載ると、圧巻の光景が広がっていた。

  

北側にも大岩があり、その上からも越後須原駅などを確認できた。魚沼地区を代表する守門岳と浅草岳は雲に隠れて山稜を見る事ができなかったが、十分な見応えだった。

  

手前の灌木で一部欠けてはいたが、破間川の下段段丘に敷設された只見線(小出~上条間)の様子がよく分かった。  


北の大岩上から東に目を向け只見町方面を見る。県境に連なる、前毛猛山(1,233m)、毛猛山(1,517m)も雲に覆われ、全体を見るこてはできなかったが、山々が幾重にも連なる険しい山岳地帯である事が実感できた。

 

 

13:16、南側の大岩に立って麓を見ると、只見行きの列車が第二押切踏切を通過し、藪神駅に停車しようとするところだった。3時間半後に、その第二押切踏切から権現堂山を背景に列車を撮影するのが楽しみになった。

   

北側の大岩上に移動し、しばらく待ち、大倉沢橋梁を通過したところを捉えた。今年引退したキハ40形東北地域本社(仙台支社)色だったならば、より一層映えたのでは...、と思った。

  

その後、列車が越後須原駅を出発し、田園を走る姿を捉えた。

 

カメラのズームを解除すると、新潟県側の只見線が、福島県とは大きく違う景色の中を走っている事が実感できた。“観光鉄道「山の只見線」”を目指す上で、この景色(敷設立地)の違いは重要で、車窓からの眺望の変化は、乗客に飽きさせることの無い満足感をもたらすのではないかと、思った。

 

 

  

13:44、30分ほど「下権現堂山」山頂に滞在し、次は、「上権現堂山」を目指して登山を再開した。

麓の案内図では、ここから「上権現堂山」山頂まで約60分、そこから下山し登山口まで約100分ということで、16時46分頃に第二押切踏切を通過する列車を撮影することは大丈夫だろう、とこの時は考えていた...。 

  

目の前に「上権現堂山」を見ながら、中越を経て続く、稜線に伸びる登山道をひたすら歩いた。登山道は灌木の間で開けていて、間違うことが無い状態だった。

  

途中、ウラジロ平と呼ばれる場所で、地上30cmほどの場所に張られたロープが長く続いていた。登山道は踏み固められ見失う事はないので、このあたりに自生するシャクナゲを保護するための進入防止として設けられたものでないかと思った。

  

 

14:15、“中越の分岐”を通過。ここまでは順調だった。

  

開けた場所からは、魚沼市街地を見る事ができた。

 

 

14:21、二箇所目の“中越の分岐”があった。どうやら、「下権現堂山」の“中越の分岐”と、「上権現堂山」の“中越の分岐”があるようだった。

 

この“中越の分岐”の後は、夏草が登山道を覆う場所が増えた。「上権現堂山」を目指す登山客が少ない事が察せられた。

  

 

14:29、“中越の分岐”から、2度のアップダウンの後、「上権現堂山」山頂への本格的な登坂が始まった。

ここに着く頃には、大きく息が切れ、登るのが辛くなっていた。直射日光を受け続ける、夏の登山の大変さを痛感した。夏山は早朝出発、日中に登るならば春か秋、と実感として学習。


 

この後、 何度となく休憩し、ゼェゼェと喘ぎながらトボトボと進んだ。茂みが深く 熊との遭遇も心配だったが、時折、手拍子を数回打ち、アイフォンから流れる音楽の力を信じるだけだった。

  

 

牛歩を進めていると、急坂前方が開けたようになり、光量が強い事がわかった。

 

『やっとかぁ』と思い、力を込めて歩みを進めると、周囲が灌木になり、前方に見慣れた看板が見えた。

  

  

  

15:06、「上権現堂山」山頂(998m)に到着。「下権現堂山」から1時間20分掛かってしまった。

 

山頂は、灌木に囲まれ、「下権現堂山」のように大岩も無い事から、麓の眺望はあまりよくなかった。

 

15:17、休憩を10分ほどで切り上げ、下山を開始。第二押切踏切に16時46分に到着するためには、1時間ほどで下山しなければならない。

  

 

15:40、“中越の分岐”に到着。「上権現堂山」の登山道同様、この分岐道も利用者が少ないようで、夏草がビッシリと生い茂り、道を塞いでいた。

 

しかし、激しいブッシュは意外と短く、木立の中に入るとはっきりと登山道が見えるようになった。

  

 

15:46、7合目の分岐を通過。「下権現堂山」の“中越の分岐”と「上権現堂山」の“中越の分岐”に向かう“分岐”のようだった。国土地理院地図にはこの分岐は無く、「上権現堂山」の“中越の分岐”までの道が表示されていない。

  

この先、道はブナ林の中に続き、時折、九十九折になった。

3ヵ所のヒモ場となる急坂もあり、登山でこの道を使う場合は時間が掛かるだろうと感じた。 

  

 

16:34、休憩を取らず、スピードを上げて下山すると、谷間の大きく開けた場所を歩く事になった。登山口はまだ先だと認識し、列車の通過時刻まで残り12分ということで、ここで第二押切踏切での列車撮影は諦めた。

  

 

16:41、戸隠神社と中越下り口との分岐を通過。

 

 まもなく、前方に長松戸隠神社を取り囲む杉の木立が見え、社務所を確認することができた。

  

 

 

 

 

16:47、権現堂山登山道口に、無事戻る事ができた。5時間13分で、“権現堂山”(下権現堂山と上権現堂山)を踏破。夏登山の恐ろしさを痛感したが、こうして登頂し下山を終えると、満足感もひとしおだった。

  

 

列車の撮影は間に合わなかったが、藪神駅17時17分発の、帰りの列車も時間がなかった。さっそく石段を下り、自転車に跨って、駅に向かった。

 

 

 

16:59、10分ほどで第二押切踏切南側の撮影ポイントに到着。15分、どこかで時間を縮められれば...と後悔したが、今日の体力の消耗度を考えるとしょうがなかったとも思った。*参考:広神商工会「只見線ビューポイント

  

ここで、今日“熊除け”に流し続けた音楽を止めた。ケツメイシにはいつもお世話になっていて、ソロ登山にも関わらず、今日も熊に出会うことはなかった。感謝、感謝。

 

ここから、近くのホームセンターでキャンプで使うタワシと洗剤を購入し、駅に向かい自転車を輪行バッグ収納し、列車を待った。 

  

 

 

17:17、小出からやってきたキハ110系2両編成に乗り込み、藪神を後にした。

 

車内では、右側の席に座り車窓から外を見た。“権現堂山”が近づき、やがて見えなくなった。

その後、他の山の陰になり、二つの山頂を同時に確認することはできなくなった。この稜線は藪神駅の前後で見られる貴重なものだったのだと、今更ながら気づいた。

 

 

魚沼市(新潟県)側の只見線は、破間川の河段段丘に沿う田園の中に敷設されているため、車窓から見える景色の雰囲気は違う。福島県(特に奥会津地域)と新潟県の沿線は豪雪地帯という点で共通しているが、金山町や只見町に見られる雪食地形とは異なる筋状地形(雪崩地形)が見られる。

列車の車窓から見える山河の風景が、福島・新潟の県境に違った様相であるというのは“観光鉄道「山の只見線」”を両県で盛り上げてゆく面でも大きい、と私は思っている。

  

 

 

 

 

18:28、列車は“六十里越”をして福島県に入り、無事に終点の只見に到着。この後、自転車で「奥会津ただみの森キャンプ場」に向かい、今日の予定を終えた。

  

約20年振りの夏の登山は、準備や心構えが不十分であったため、大変辛いものとなったが、無事に踏破できたことで、大きな達成感を得ることができた。「下権現堂山」から見下ろした只見線沿線の風景は素晴らしく、今後、列車に乗りながらこの景色を想像する事で、より満足度が高まる期待が持てた。

  

魚沼市内の只見線沿線の山の中で、次は「守門岳」(1,537.2m)の登山を予定している。標高が高く、頂上から只見線を取り囲む風景や走る列車を見る事は出来ないかもしれないが、“観光鉄道「山の只見線」”の新潟県側を象徴する山の一つに登る事で、また色々考えたいと思う。


 

(了)

 

 

・  ・  ・  ・  ・

*参考: 

・福島県:只見線の復旧・復興に関する取組みについて *生活環境部 只見線再開準備室 

・NHK:新日本風土記「動画で見るニッポンみちしる~JR只見線」 

・産経新聞:「【美しきにっぽん】幾山河 川霧を越えてゆく JR只見線」(2019年7月3日) 

・東日本旅客鉄道株式会社:「只見線について」(PDF) (2013年5月22日)/「只見線(会津川口~只見間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書」の締結について(PDF)(2017年6月19日)

  

【只見線への寄付案内】 

福島県はJR只見線全線復旧後の「上下分離」経営での維持費や集客・地域振興策の実施費用として寄付を募集中(クレジット可)。 

①福島県ホームページ:只見線復旧復興基金寄附金・只見線応援団加入申し込みの方法 *現在は只見線ポータルサイト「只見線応援団」URL:https://tadami-line.jp/support/

    

②福島県:企業版ふるさと納税

URL:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16005g/kigyou-furusato-zei.html

[寄付金の使途]

(引用)寄附金は、只見線を活用した体験型ツアーや周遊ルートの整備、只見線関連コンテンツの充実化等に活用させていただきます。 沿線地域における日本一の秘境路線と言われる観光資源を活用し、更なる利用者の拡大と認知度向上を図ります。

  

以上、よろしくお願い申し上げます。

次はいつ乗る? 只見線

東日本大震災が発生した2011年の「平成23年7月新潟福島豪雨」被害で一部不通となっていたJR只見線は、会津川口~只見間を上下分離(官有民営)とし、2022年10月1日(土)に、約11年2か月振りに復旧(全線運転再開)しました。 このブログでは、“観光鉄道「山の只見線」”を目指す、只見線の車窓からの風景や沿線の見どころを中心に、乗車記や「会津百名山」山行記、利活事業に対する私見等を掲載します。

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