只見町「要害山 登山」 2016年 初夏

只見四名山”の一つ「要害山」に登るため、JR只見線を利用し只見町に向かった。


早朝、郡山駅上空には青空が広がっていた。

5:55、磐越西線の始発電車に乗り、まずは会津若松に向かう。

 

猪苗代手前、先日のNHK「ブラタモリ」で紹介された磐梯山は雲に覆われ見えなかった。

 

定時に会津若松に到着。

屋根瓦の“正門”と脇にた佇む赤べこ、そしてやや前面にある白虎隊像、この3点セットが会津若松にやってきたことを実感させる。

上空には青空。只見町も大丈夫だろうと期待する。

 

  

駅構内の連絡橋には熊本観光をPRポスターがズラリと並んで掲示されていた。

全てのポスターには熊本県の公式キャラクター「くまもん」が掲載されていてた。

ポスターの“訴え”を邪魔せず、熊本であることを確実に認識させる「くまもん」。

その存在の大きさを改めて感じた。熊本にも行かなければならない、と思う。

 

 

只見線のホームには白いシャツ(ブラウス)が目立つ高校生の姿。

今日は一学期の終業式。生徒達は徐々に増え、ホームを満たした彼らの活気に夏本番到来を感じた。

会津川口からやってきた折り返し列車に乗り込む。

 

 

 

7:37、列車は出発。

県立大沼高校のある会津高田で1/4程度下りたが、しばらく車内は生徒が“占有”していた。

この大量の通学者を乗せるため、車両は3両編成のまま終点まで向かうことになる。

 

西若松を過ぎ、阿賀川を渡ると田園を間を走る。 

“強藩”会津を支えた力の源泉を実感できる光景。

沿線は季節によって風景が変わり、田園の中を疾走する列車の撮影スポットでもある。

 

会津坂下で県立坂下、県立会津農林の二校の生徒を降ろすと、車内にはほとんど乗客が残らなかった。

私の車両には私を含め3名だけ。

平日の只見線、この駅から先の乗客を増やす事が必要であることを痛感。

 

 

会津坂下を出発し、しばらくすると列車は山間部に入り緑の木々の間を進む。

 

会津桧原を出ると間もなく第一只見川橋梁を渡る。

ここから只見川との付き合いが始まる。


会津宮下の先では宮下ダムの直近を通る。

対岸には国道252号線のスノーシェッドが延々と続いている。

 

 

早戸付近。青空があると風景が映える。

 

会津中川を出て大志集落の脇を通り過ぎる。振り返り、家並みを撮る。

 

トラスドランガー式の上井草橋を下を通過。

幅5mの林道橋ながら全長が154mもある。“ダム湖が連なる”只見川ならではの光景。圧巻。

 

  

現在の終点・会津川口に到着。

ここから代行バスに乗り継がなければならない。

 

ホームへの通路付近にはシニアの方々が。

各々が一眼レフカメラと三脚が持たれている。会話からも“撮り鉄”と察せられた。

是非、只見線に乗車もして欲しいと思った。

 

 

駅構内の売店内にある金山町観光情報センターには町のゆるキャラ「かぼまる」が居た。

今回は浴衣姿になっていた。前回は“新入生”。どうやら季節ごとに着せ替えしているようだ。

名物「大塩炭酸水」をイメージした水玉の蝶ネクタイもしっかり見えて、良い着こなしだと思った。これで温泉をイメージした「桶」が見えれば完璧だが、難しいか...。

 

 

代行バスの出発まで46分。

以前に訪れた、この先の不通区間の一部を見ようと駅を出て歩き出す。天気は問題なさそうだ。

 

10分ほどで、現場に到着。

雑草が生い茂るのり面や地表と一体化した鉄路があった。

地図に記載されている鉄道路線とは思えない光景。レールの錆び具合も痛々しかった。

会津川口駅方面を見る。部分運休の現状、その重さを感じた。

 

 

駅に戻り、代行バスに乗車。

運転手は以前(今年2月19日)と同じ女性ドライバー。乗客は、私の他一人。

平日のJR只見線。利用者を増やさなければならない、とまた思う。

 

 

代行バスは10:26に出発。

 

国道252号線を進むと、間もなく「平成23年7月新潟福島豪雨」で一部流失した第五只見川橋梁が見える。

 

本名駅前に設けられたバス停を過ぎ、本名ダム(東北電力㈱本名発電所)を渡る。眼下に流失した第六只見川橋梁がある。

橋脚付近では護岸工事が進められていた。

 

代行バスの車内では椅子の狭さや路面状況による振動を体感し、高齢者は『できれば乗りたくない』だろうと想像。

 

 

出発から50分。定時に只見に到着。上空には変わらぬ青空が。天候に恵まれた。

駅後方には、これから登る要害山がそびえる。

只見から先、終点・小出(新潟県魚沼市)までは通常運行区間だ。

小出行きの列車は一日3本。

レール表面が輝いているほどではないが、“走っている”事が理解できる光り具合だった。

反対側、会津若松方面のレールは錆びつき、路盤には列車の車高を超える草が生い茂っていた。

只見線に“乗る”ことの価値、運休区間の自治体である金山町と只見町の魅力を発信し、一日でも早い全線復旧を成し遂げなければならいない、とまたまた思った。

 

 

ここから「要害山」登山。

駅構内にある只見町観光まちづくり協会に行き、要害山登山の地図を頂き、熊の情報を得る。

目撃情報が無いが、熊鈴があれば大丈夫だと言われる。

今日事務所にいたスタッフは全員女性で、その対応も含め、町の観光振興への熱意が感じられた。

 

踏切を渡り、宮ノ沢登山口のある滝神社へ。

駅から徒歩5分もかからない。

 

いざ、要害山へ。

歩き出して2分。面をくらう。

地図に『沢を渡る』と書いてあったが、沢に踏み石が無かった。

靴が防水で無いので少し濡れる事を覚悟する。春先は雪解け水で水量があるだろうから、防水機能を備えた登山靴がよいだろう。

 

登り始めると、また驚いた。

標高705mを馬鹿にしていたわけではないが、あまりの急こう配に、しばし茫然。

補助用の虎ロープまで垂らしてあった。

覚悟を決めて登る。

 

登山開始から10分。

眼下には只見町が広がっていた。

10分でこの景色ならば、頂上に行けば更なる絶景があるのでは、と期待が膨らむ。

 

登山開始15分で「一服尾根」に到着。

只見駅など町の中心部が欠けてしまったが、右(西)奥には田子倉ダム、その奥に未丈ヶ岳~大鳥岳~毛猛山の稜線が見えた。

“一服”を終え、滴る汗をぬぐいながら、急こう配を登る。

 

前方に巨木があり、根元に「ブナ太郎」と掛かれた杭が。

雪国の山の斜面に巨木がある事に関心する。

 

登山開始から30分。

要害山山頂に到着。

事前に『夏場は葉が邪魔して見晴らしは良くない』との情報を得ていた為、あまり期待はしていなかったが、山頂という感覚がそうさせるのか、良い眺めだった。

 

山頂付近には複数のテレビ・ラジオ塔が。

要害山はインフラを支える“要”ともなっているようだ。

5分ほど滞在し、下山。

 

当初は宮ノ沢登山道を往復する最短ルートと考えていたが、あの急こう配を降りるのは危険と思い直し、地図に掲載された南尾根登山道を利用した。

しかし、ここでも驚く。

こちらも結構な急こう配。虎ロープが配置されている場所もあるほどだった。

足を挫かぬよう慎重に下った。

 

木々の間からは只見ダム湖と田子倉ダムの巨大な躯体が見えた。

大自然の中の巨大な人造物。建設当時の苦労と、只見線の役割を思った。

 

只見町の風景も、宮ノ沢登山道とはまた違った趣き。

伊南川が只見川に合流する地点がはっきりと見られた。

 

しばらく下ると、白い岩肌があった。

見晴らしが良好。

北西には雪食地形が見え、「春の夫婦滝」があるという山の斜面。

南東には只見町を一望。

要害山で一番のビューポイントではないかと思った。

 

 

後半はなだらかな登山道が続く。

 

下山開始から約40分で南尾根登山口に到着。

しばらく歩くと三石神社があったが、その鳥居のすぐ脇の登山口案内板の側に「クマ出没 注意」標識が建てられていた。

宮ノ沢登山口にはなかったので、思わず『今さら...』と笑ってしまった。

 

登山に30分、下山に40分、登山口への移動が合計20分。

要害山登山は、只見駅を起点に約1時間30分かかった。

十分、日帰りコースになると思った。

 

 

再び、駅の只見町観光まちづくり協会に立ち寄り、登山記念のバッジを頂いた。

登山前にスタッフから『下山したらまたこちらに寄ってください。バッチをお渡しします』と言われていたが、ずっしりと重いつくりで、「2016」とも刻印されていた。

「TADAMI4MEIZANN」(只見4名山)と刻印されていることから、他の蒲生岳、浅草岳会津朝日岳を登ると、それぞれ頂けるのだろうか。

 

 

昼食は、駅から5分ほど歩いたコンビニの2階にある「マトン ケバブ Cafe」に行き、味付けマトンケバブを頂くことに。

羊肉特有の香りは残るものの、柔らかくジューシーで美味しかった。

450円でこの味とボリュームはなかなか。

このマトンケバブは只見町のB級グルメとなっているようだが、もともとは田子倉ダム建設に携わった労働者に羊肉(マトン)を提供するためにこの地に普及したのだという。

 

 

昼食後、しばらく町中をぶらつき、14:32発の代行バスで只見を後にする。

滞在時間は3時間17分。要害山に登り、自然と景色を堪能し、名物も頂いた。

只見町にまた来たいと思った。

次は紅葉の秋、蒲生岳に挑戦してみたい。

 

 

代行バスの車窓からは第八只見川橋梁が一望できた。後方には蒲生岳。

今すぐにでも列車が走れそうだが、JR東日本によると復旧費用は45億円と、運休区間の復旧費用(85億円)の半分以上を占めている。

福島県や沿線自治体はこの費用の精査を求めるべきではないだろうか。

 *参考:JR東日本「只見線について」(2013年5月22日)(PDF)

 

 

定刻通りに会津川口に到着。

只見町が「ユネスコエコパーク」に登録された事を記念にラッピングされた車両に乗車し、15:27に出発した。

帰路は、只見川沿いを含む山間から田園を抜けていった。

 

 

17:16、終点・会津若松の一つ手前の七日町で下車。

ホームの端から磐梯山がくっきりと見えた。

駅から七日町通り(国道252号線)を歩き、若松の中心部である神明通りに向かう。

道路は共同溝の工事中で、歩道の拡張・整備と電柱地中化が進められているようだ。

同時に無散水消雪装置も埋設するようで、通年を通した“街歩き”が楽しめそうだ。

後日、七日町をゆっくり歩いてみたい。

 

会津若松市のメインストリートである神明通りに到着。

アーケードはなく、夏空が広がっていた。撤去されて初めての夏を迎えるが、灼熱の太陽の下、市民や観光客は何と思うだろうか。

 *参考:会津若松市「中心市街地活性化基本計画 -概要版-」(平成26年4月)

 

 

神明通りを駅方面に歩き、左折、野口英世青春通り沿いにある居酒屋で“一杯”と思って暖簾をくぐったが『予約で満席』とのこと。

駅前のラーメン二郎で夕食を摂り帰る事に。

 

19:04発、磐越西線の快速列車で自宅のある郡山に向かう。

疲れたが、充実した一日となった。(了)

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

*参考:福島県 「只見線の復旧・復興に関する取組みについて」/「JR只見線 福島県情報ポータルサイト

*参考:政府 インターネットテレビ「見どころたくさん 福島に来てくなんしょ!


【只見線への寄付案内】

福島県はJR只見線全線復旧後の「上下分離」経営での維持費や集客・地域振興策の実施費用として寄付を募集中(クレジット可)。

・福島県ホームページ:只見線復旧復興基金寄附金・只見線応援団加入申し込みの方法

  

寄付金の使途は以下の通り。

・お寄せいただいた寄附金は、福島県、会津17市町村や新潟県などで 組織する「福島県JR只見線復興推進会議」で協議の上、只見線の復 旧や利活用促進のため使われます。(「只見線復旧復興基金寄附金募集」チラシより)

・ 寄附金は、只見線を活用した体験型ツアーや周遊ルートの整備、 只見線関連コンテンツの充実化等に活用させていただきます。 日本一と言われるロケーションだけに頼らない観光振興を推進し、 新たな観光収入の増加を図ります。 (「JR只見線企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)の御案内」より)

 

 

よろしくお願い申し上げます。

次はいつ乗る? 只見線

東日本大震災が発生した2011年の「平成23年7月新潟福島豪雨」被害で一部不通となっているJR只見線は、2017年6月19日に福島県とJR東日本間で「復旧基本合意書」が交わされ、2018年6月15日の復旧工事起工式を経て、2021年度中の全線再開通に向けて工事が本格化しました。ブログでは車窓の風景や沿線の見どころを伝える「乗車記」等を掲載します。

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