「冬の奥会津ぶらり旅」路線バス 只見川線

会津若松駅からの会津宮下駅を結ぶ路線バス「只見川線」号に乗り、JR只見線の「第一只見川橋梁」を通過する列車の写真を撮ってきた。

 

このバスは「只見線利活用事業」で福島県が補助を出し、地元の会津バスが「冬の奥会津ぶらり旅」を企画し運行している。

午前と午後の二便があり、会津宮下駅で只見線の列車と連絡している。ただ、実際は鉄道風景写真を撮る旅行者を会津若松駅から「第一只見川橋梁ビューポイント」まで直接運ぶ“直行便”として利用されているようだ。

 

バスは新鶴駅付近までは只見線に沿って走る事はなく、会津若松駅からほぼ最短距離で会津平野を東西に突っ切る。新鶴駅手前で只見線に近付き、北に進路を変え県道から国道49号線を経て国道252号線を進んで行く。

停車するのは、柳津町の「道の駅 会津柳津」と三島町の「道の駅 尾瀬街道みしま宿」、そして終点・会津宮下駅。

 

今日の予定は、会津若松駅前からこのバスの午前便に乗り、「道の駅 尾瀬街道みしま宿」で降り、「第一只見川橋梁ビューポイント」で列車の写真を撮り、再びバスに乗って会津若松駅に戻ってくる(只見線・フォトプラン(午前))。その後は、予定があるため郡山の自宅に戻る。

 

昨日は只見線に乗車したが、今日は只見線の調査旅行で、只見線の列車に乗車しない日は初めてだった。

*参考

・福島県:只見線ポータルサイト

・NHK:新日本風土記「動画で見るニッポンみちしる~JR只見線」 

・東日本旅客鉄道株式会社:「只見線について」 (2013年5月22日)/「只見線(会津川口~只見間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書」の締結について(2017年6月19日)

・拙著:「次はいつ乗る?只見線」カテゴリ ー只見線の冬ー 

 

 


 

 

今朝、宿を出て会津若松城(鶴ヶ城)を堀の外から見る。 *参考:史跡名勝天然記念物「若松城跡

 

天守閣は、最上部と二層部の耐震強化工事をする計画があり、2021年度に着工する予定になっている。

 

街のあちこちには、歴史観光案内板が置かれている。

「戊辰150周年記念事業」で設置された真新しいものも多いが、観光資源が街なかに点在してることが分かる。国内でも有数の歴史・文化遺産などを持つ会津若松には福島県の観光産業を牽引して欲しいと思う。*参考:会津若松市「戊辰150周年」URL:

 https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/bunya/boshin150/

 

神明通り商店街のアーケードに建設中の建物があった。「多世代交流コミュニティ拠点」だ。

2階建の施設で、1階に3つの飲食店、2階は8店舗分の区分けをし入居した事業者が軌道に乗った場合近くの空き店舗に移れるようにするという。また4室の起業支援室(インキュベーションルーム)を設け起業者や情報業者に貸し出すという。

 

野口英世青春通りを進み駅に向かうと、道路改良工事が進められていた。

電柱を歩道から建物側に移し、歩道の段差を無くし歩き易くする工事だ。駅側から徐々に進められ、七日町通り(国道252号線)との交差点である大町札の辻まで行われる予定となっている。会津若松市は、歴史的建築物や点在する史跡を活かすべく、街歩きができる環境整備を行っている。

 

 

 

7:10、会津若松駅前に到着。

 

バス停を見ると、これから乗る「只見川線」号が停車していた。只見線の列車を模したラッピングがしてあり、奥会津地域は国道252号線を通る事から“キハ40 252”と印字されていた。

  

会津バス駅前案内所で「一日フリーチケット」(1,500円)を購入し、バスに乗り込んだ。

 

車内は混んでいて、乗客は18人となった。インバウンドはアジア系を中心に半数近かった。

7:30、バスが会津若松駅前を出発。

  

 

バスは渋滞もなく快適に進んだが、会津坂下町から七折峠に入ると雪が降り初め、柳津町に入る頃には激しくなった。

 

途中、「道の駅 会津柳津」に停車。乗降客は居なかった。

 

 

8:35、「道の駅 尾瀬街道みしま宿」に到着。全ての乗客が降りた。

 

乗客は列をなして、山の方に向かってゆく。駐車場を見ると、県外ナンバーの車両が圧倒的に多かった。

 

そして、乗客は「第一只見川橋梁ビューポイント」の遊歩道を登っていった。

 

私は、誰も立ち寄る事がなかった、道の駅に入った。館内は客がおらず静まり返っていて、外の車の持ち主はビューポイントに行っているのは明らかだった。

  

道の駅の入口には、只見線の駅で見かけた“Youはどこから?”ボードが置かれていた。

台湾からのインバウンドが圧倒的に多く、以下、タイ、香港、中国、ベトナム、インドと続いていた。驚いたのが、雪国ロシアから6名の訪問があった事。どんな方が訪れたか興味がわいた。

  

道の駅の館内を見て回った後、表に出て駐車場の端から町道の歳時記橋を見下ろした。「第一只見川橋梁」と同じアーチ橋だ。

 

 

続いて国道252号線の方に進み、牧堀沢に架かる駒啼瀬歩道橋を渡り「ビューポイント」の遊歩道入口に向かう。ここが「Aポイント」になっている。

 

 

比較的緩やかだが、圧雪され表面が滑った。慎重に道を進むと、直ぐに「Bポイント」に着いた。5名の観光客、カメラマンが居た。

 

「Bポイント」から「第一只見川橋梁」を見る。低い位置だが、橋梁を近くに感じられる事ができる撮影ポイントだ。昨日は綿帽子がほとんどなく、冬の風情をあまり感じる事はなかったが、今日はその点は申し分なかったが、雪の降り具合が心配になった。*以下、各橋梁のリンク先は土木学会附属土木図書館デジタルアーカイブス歴史的鋼橋集覧1873-1960

    

「Bポイント」から少し引き返し、さらに遊歩道を登ってゆく。以前は“冬期閉鎖”されていた事もあり、途中から傾斜が急になる。さらに慎重に進む。

  

3分ほどで「Cポイント」に到着。20名ほどの観光客とカメラマンが居た。ここで、会津若松駅7時37分発の下り列車の通過を待ち、写真を撮る事にした。

  

9:06、汽笛が聞こえ、ほぼ定刻通りにキハ40形2両編成の列車が橋梁を通過した。話し声は途絶え、皆一斉にシャッターを切った。この時は、雪が強く降らず、私もまずまずの一枚を撮る事ができた。

 

 

その後直後、私は遊歩道をさらに登り、送電線鉄塔下の「Dポイント」に向かった。そして、会津西方駅に停車した下り列車が、「第二只見川橋梁」を渡る姿を撮った。綿帽子に囲まれた、列車の様子を捉えられて良かったと思った。

   

「Dポイント」には30名を超える人、人、人。

私が乗ってきたバスで見かけた以外のインバウンドの方も多く、ここまでどのようにしてやってきたか興味がわいた。三島町内に泊まり歩いてきた、会津若松市内に泊まり始発列車に乗り会津宮下駅から歩いてきた、タクシーを使ってきた...等が考えられるが、いずれにしても只見線沿線で消費活動をしてくれたようで嬉しかった。

  

「Dポイント」からの眺め。全体を俯瞰でき、駒啼瀬の急峻な渓谷と只見線の蛇行具合が分かり良い構図だと思う。

晴れていれば前方に日向倉山(605m)を中心とする低山の稜線が美しく見え、西方地区の家並みもアクセントを与えてくれ、国内屈指の鉄道風景写真を撮る事ができる。

  

下り列車の通過から約15分。列車の通過音が微かに山間にこだまし、汽笛音も聞こえた。 

9:18、雪の振りが強くなってきた中、上り列車が姿を現し、橋梁を通過した。数多くのシャッター音が鳴り続けた。

雪がここまで降ると、“満足の一枚”とはならなかったようで、カメラマンの何人かは『もう少し早ければ(雪が少なく)良かったのに...』と恨み節を言っていた。

私のコンデジも、この気象条件には対応できなかった。

 

 

撮影の予定を終え、遊歩道をゆっくりと下りた。歩道橋に出ると前方にバスが停車しているのが見えた。

 

乗り込み天井を見ると、只見線の写真が広告スペースに掲示されていた。往路では気付かなかった。

9:40、会津若松駅行きのバスは、21人の客を乗せ出発した。往路で見かけた方は半数程で、1/3がインバウンドの方々だった。

  

 

10:45、バスは順調に進み、定刻より10分ほど早く会津若松駅前に到着。

私は駅舎に入り、郡山駅行きの列車に乗って帰宅の途に就いた。

  

 

郡山に戻ると、少し路面が濡れてはいたが、雪は降っていなかった。この時期は、福島県が横に長い事を実感した。

 


  

只見線の列車に乗らない「冬の奥会津ぶらり旅」を無事に終える事ができた。


路線バスの車内から見える風景はよく見る道路沿いの風景で、単線の只見線の車窓からのものとは全く意を異にしていた。国道252号線の松倉トンネル~桧原スノーシェッド間は只見川に近付き只見線内からは見られない景色が見られるが、バス内外の気温差があり窓は強く結露し車内から眺め続ける事は出来なかった。

このバスは乗車して沿道の風景を楽しむものではなく、「第一只見川橋梁ビューポイント」への移動手段であると私は確信した。会津宮下駅で只見線の列車に連絡するというが、この利用はほとんどないのではないだろうか。

 

「第一只見川橋梁ビューポイント」の観光資源としての能力は高く、移動手段を確保する福島県の取り組みは評価できる。しかし、只見線に乗らずに済むこの企画には違和感がある。観光客が只見線に乗って同じ効果を得られる方法はないのか、福島県はそれを考えたのだろうかと思う。

たとえば、会津若松7時37分発の只見線の下り列車に乗って、会津坂下(8時20分着)で下車し、駅頭に付けられた「只見川線」号(バス)に乗って「第一只見川橋梁ビューポイント」に向かう。バスの移動時間は30分ほどなので、8時50分頃に現地に到着する。只見線の橋梁通過時刻の9時06分頃(下り)、9時18分頃(上り)には十分間に合い、列車を撮影する事ができる。もし、撮影場所の問題があるのであれば「座席予約」のような撮影場所予約サービスを設定すればよい。管理はスマホとドローンがあればできる可能性もある。

 

復路は選択制にする。撮影後、待機していた「只見川線」号に乗り、会津宮下駅、道の駅会津柳津、会津坂下駅、会津若松駅での下車が選べるようにする。会津宮下駅周辺には日帰り入浴可能な温泉が多く「アーチ3橋(兄)弟」などの撮影ポイントもある。道の駅会津柳津と会津柳津駅を結ぶ経路には日帰り温泉の他、「柳津観洸船」や「斎藤清美術館」、「あわまんじゅう」の店(4店)があり、会津坂下駅周辺では日本酒の3つの酒蔵を巡り名物の馬刺しを食べる事ができる。本数が少ない只見線の列車の待ち時間を有効に使えるばかりか、滞在時間の延長=経済効果も期待できる。

福島県は「冬の奥会津ぶらり旅」の他、昨年8月11日~11月25日まで紅葉期間は毎日運航する「奥会津ぶらり旅」を事業委託していた。今後も、この企画を継続するのであれば、列車の撮影で完結する旅とするのではなく、只見線に乗って沿線に滞在してもらう旅となるように事業者と話し合って検討して欲しい。

  

また、私は「第一只見川橋梁ビューポイント」に徒歩でアクセスできる環境を作るべきだと思っている。只見線に乗ってやってきた観光客が、二次交通を気にする事無く、自分のペースで「ビューポイント」を楽しむ事ができるからだ。

現在、最寄である会津西方駅から歩いて「ビューポイント」にたどり着くには40分(2km超)ほど掛かる。“山に分け入るような”道(町道、農免道路)や、交通量が激しく歩道のない国道252号線を歩く必要もある。「ビューポイント」に行きたい観光客にとって会津西方駅は近くて遠い駅になっている。

   

会津西方駅から「ビューポイント」までの徒歩アクセス経路整備は、予算が限られている中、3つの段階が考えられる。

[第1段階]経路標識の設置と“けものみち”を歩ける道にする

会津西方駅から国道400号線を進むと歳時記橋に通ずる道路(西方地区農免道路)に出る道がある。この道を含め駅に「ビューポイント」までの経路地図を掲げ、この道を含め経路標識を立てる事で、観光客の誘導ができる。

そして、現在“けものみち”化している道を、歩けるようにする。歳時記橋を渡ると上方に「道の駅」が見える。少し進むと鋭角に折り返し上る“けものみち”(旧 沼田街道)が現れる。ここを通れば、交通量が多く歩道の無い国道252号線を歩かなくても「道の駅」に着く事ができる。この“けものみち”(旧 沼田街道)は、堆積した落ち葉や枝木を除去し、砂利を敷くだけでも歩けるようになる。冬期は周囲を木々に囲まれているため、除雪を頻繁に行う必要はないだろう。

標識設置と“けものみち”(旧 沼田街道)整備が行われ、周知されれば、歩いてビューポイントを往復する観光客は出てくるはずだ。

 

[第2段階]歳時記橋たもとから「道の駅」への最短路となる遊歩道を設置する

歳時記橋を渡ると上方に「道の駅」が見えるが、たどり着くためには大きく迂回しなければならない。ここで、歳時記橋のたもとから遊歩道を作れば、時間が短くなり、迂回しなければならないという気苦労が無くなる。

遊歩道は、急峻な崖を蛇行するように設置されなければならないが、不可能な工事ではない。観光客が登る行為も、国内屈指の鉄道風景写真を撮れると思えば、納得ができるだろう。

 

[第3段階]会津西方駅から線路を沿いに遊歩道を作り、町道と接続させる

会津西方駅前を通る国道400号線から分岐する道は両側に森が迫り、一人旅や女性は不安になってしまうだろう。そこで、只見線の線路沿いに遊歩道を作り、名入トンネル脇に階段を設け、歳時記橋に通じる道路(西方地区農免道路)に接続するようにすれば、安心感が増すと思う。トンネルと町道間も森の中になるが、両脇に花壇を設けたり、LED正面を多用すれば安心感は得られるのではないだろうか。

 

この3段階を経れば、会津西方駅から20分程で「道の駅」に到着することができるようになり、「第一只見川橋梁ビューポイント」への徒歩アクセスは各段に向上するだろう。

そうすれば観光客の自由度は増し、伝統工芸品「奥会津編み細工」に関わる三島町生活工芸館やそのそばにあるレストラン「どんぐり」、そして「第二只見川橋梁」を見て、宮下温泉を楽しむなど、滞在時間が飛躍的に延び、経済効果も見込めるのではないだろうか。二次交通に依存しない只見線の利活用は夢ではなくなる。

三島町には、この3段階の可能性を検討し、費用を計上して調査してもらいたい。そして、県の補助、国の交付金、そして寄付金(クラウドファンディング)を組み合わせ、経費を調達し実現させて欲しいと思う。「第一只見川橋梁ビューポイント」にはそれだけの労力やコストを割く価値はあると私は思う。

   

  

「冬の奥会津ぶらり旅」は、前述したように福島県の「只見線利活用事業」の一環として行われている。昨年3月29日に行われた「福島県JR只見線復興推進会議」で承認された2018年度の「只見線利活用事業」がその翌日の地元紙・福島民報に掲載されていた。

 

福島県は2019年度も「只見線利活用事業」を進めるが、この事業の方向性が気になる。

福島民報は昨年12月29日付けの一面で、沿線4町(柳津・三島・金山・只見)が県土木部・農林水産部出先機関などと官民合同組織を作り、写真撮影の地点の眺望や散策路を整備し、鉄道写真愛好家らを呼び込み奥会津の振興につなげる、と報じていた。

2021年度中に全線再開通となる只見線は、福島県と会津17市町村が約27億円の復旧費用、毎年2億1千万円の運行経費を負担をすることになっている。只見線の多大な赤字は乗る人の増加によって解消され、税負担する会津17市町村と福島県民の理解が得られるのではないか私は考えている。今回の「冬の奥会津ぶらり旅」で実感したことだが、福島県は列車に乗らず、撮るだけでも只見線の為になると考えているようだが、“撮る人”の満足を高める事がどのような形で只見線の赤字を解消し、納税者の理解を得るのか、私は未だ理解できない。

“撮る人”の中には、車でやってきて車中泊してコンビニで最低限の買い物をして済ますような方も少なくない。インバウンドの方がターゲットの場合、二次交通や多言語案内板の整備の問題が撮影スポットへの誘導は容易ではない。また、現在の撮影地点の眺望対して不満を表しているのも定かではない。

この“景観向上”が、誰の声を反映して計画され、鉄道写真愛好家を呼び込む事でどのように只見線の集客や沿線経済効果をもたらすのか、予算を割く福島県は説明しなければならないと私は思う。

 

 

“景観向上”は、只見線の列車内から見える景観を優先しなければならない。車窓から見える景観を損ねたり悪化させるなどは本末転倒で、作業には配慮や工夫が必要だ。

第三只見川橋梁」を望む、国道252号線高清水スノーシェッド前の木々の伐採を例にとる。

 

伐採前は、スノーシェッドはほとんど隠れ、只見線の車内からは気にならなかった。人工物があまり気にならない素晴らしい車窓からの眺めだった。

 

しかし、昨年夏ごろにスノーシェッドを覆っていた木々が伐採され、スノーシェッドのコンクリート構造物がむき出しになってしまった。只見線の車内から見える景観が損なわれてしまった。

 

昨年8月24日の福島民報では『只見線きれいに写して』と題して伐採前後の写真を掲載していた。

 

この伐採は高清水スノーシェッド内から撮影する“撮る人”ために行われたものだが、駅からの徒歩移動は、時間的にも安心安全という観点からも難しい。

最寄の会津宮下駅からは3.3km、早戸駅からは3.7kmで長い坂を上り続けなければならない。しかも、国道252号線は歩く事を想定していない道で路側帯・歩道は幅が狭く、片側しか無いなど、とても観光客が歩ける道ではない。

二次交通は無く、送迎バスを設定しても駐車スペースは狭く、撮影好適期には先客で埋められている。

 

さらに撮影は狭い歩道で行わなければならないため、すれ違いの際に大型車両が通ることにでもなれば風圧で車道側に倒れかねない。スピードを出す車も多く、一見さんである観光客が安心して写真を撮る環境ではない。

この高清水スノーシェッドの内の「第三只見川橋梁」撮影ポイントは鉄道写真愛好家(マニア)ために木々が伐採され、“撮る人”にとっては景観向上し、“乗る人”にとっては景観が損ねられて場所だと私は考えている。

 

ただ、切られた木々は直ぐには元通りにならないので、公金を投入した以上この景観向上事業の効果を出さなければならない。まず、福島県は伐採によってどれだけ鉄道写真愛好家が増えたのかカウントする必要がある。そして、アンケートを行い、どこから来たのか何度目か、宿泊したかなどの実態を把握し公表すべきだと思う。

さらに、福島県はここを利用する鉄道愛好家に営業を掛け、沿線に泊まり、食事をして、土産を買うように誘導して欲しい。県職員は『只見線は多額の税金を投入し復旧され、毎年2億円の運営資金も税金で補填します。だから、只見線をタダで撮る事をはご遠慮ください』という意識を持ち、正直に鉄道写真愛好家に伝え、只見線に乗らず現地にやってくる鉄道愛好家が沿線に直接的な経済効果をもたらしてくれる雰囲気・文化を創り上げて欲しい。

撮られた写真がSNSなどでアップされ新たな観光客を呼び込むという効果は人気ブロガーや芸能人に限定し、他の“撮る人”は只見線に乗るか(沿線でおカネを)使うかを勧めてゆけば、只見線の乗客は増え、只見線に関する経済効果も認められるようになるはずだと私は思う。

 

 

福島県は、“観光鉄道「山の只見線」”に“乗る人”が見る車窓からの風景を第一に考え、“撮る人”のための景観向上事業を進めて欲しい。また、同時に、“乗る人”にとっても景観向上となる枝木の伐採や電線地中(地上)化を検討し進めて欲しいと思う。

 

 

(了)

 

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

*参考

・福島県 生活環境部 只見線再開準備室:「只見線の復旧・復興に関する取組みについて

   

【只見線への寄付案内】

福島県はJR只見線全線復旧後の「上下分離」経営での維持費や集客・地域振興策の実施費用として寄付を募集中(クレジット可)。

①福島県ホームページ:只見線復旧復興基金寄附金・只見線応援団加入申し込みの方法 *現在は只見線ポータルサイト「只見線応援団」URL:https://tadami-line.jp/support/

 

②福島県:企業版ふるさと納税

URL:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16005g/kigyou-furusato-zei.html

[寄付金の使途]

(引用)寄附金は、只見線を活用した体験型ツアーや周遊ルートの整備、只見線関連コンテンツの充実化等に活用させていただきます。 沿線地域における日本一の秘境路線と言われる観光資源を活用し、更なる利用者の拡大と認知度向上を図ります。

 

以上、よろしくお願い申し上げます。

次はいつ乗る? 只見線

東日本大震災が発生した2011年の「平成23年7月新潟福島豪雨」被害で一部不通となっていたJR只見線は、会津川口~只見間を上下分離(官有民営)とし、2022年10月1日(土)に、約11年2か月振りに復旧(全線運転再開)しました。 このブログでは、“観光鉄道「山の只見線」”を目指す、只見線の車窓からの風景や沿線の見どころを中心に、乗車記や「会津百名山」山行記、利活事業に対する私見等を掲載します。

0コメント

  • 1000 / 1000