只見町「ふるさとの雪まつり」 2017年 厳冬

今日明日の二日間で行われる「只見ふるさとの雪まつり」を見たいと思い、雪が降りしきる中、JR只見線に乗って只見町に向かった。

45回を迎えた「ふるさとの雪まつり」。

今年は“熊本復興応援”という事で大雪像は「熊本城」を再現。

今朝、出がけに目を通した福島民報の3面には前夜祭の様子を伝える記事が載っていた。

11:15只見駅着で14:36発の予定。滞在時間は約3時間半。

まつりの“売り”にもなっている花火大会(19:30開始)を見る事はできない。

次回は泊まりで来て、見てみたい。

 

 



朝、出発前の郡山駅上空、東側は明るんできていた。

土曜日ということで切符は「小さな旅ホリデーパス」を購入。

改札を通り1番ホームに行き、磐越西線始発の「あかべぇ」列車に乗車。

5:55、定刻に出発。

喜久田に近づくと小雪が舞い始め、安子ヶ島では雪の結晶が大きくなり、磐梯熱海では雪が深々と下りていた。

 

沼上トンネルを通り抜け会津地方に入ると視界が悪いほどの雪模様。

 

川桁から猪苗代の間で見る事ができる磐梯山も、今回は全く見えなかった。

 

7:12、降雪のため3分ほど遅れて会津若松に到着。

駅上空からは牡丹雪が舞い降りてきていた。

先日、改装し再オープンしたKIOSKでコーヒーなどの買物を済ませ、再び改札を通り連絡橋で4番ホームに移動。

これから乗る只見線の列車、キハ40系は二連結で入線していた。

 

7:37、列車は定刻に出発。

 

車内は乗客も多く活気があった。

 

外は雪は降り続ける。

会津盆地は、雪原になっていた。

本格的な雪の中を只見線に乗るのは初めて。


車窓からの風景が楽しみだ...。

と思ったが、窓が曇り、外側には水滴などがついてよく見えなかった。

カメラを向けても窓にピントが合ってしまい、よく撮れない。

結局、停車中に窓を開けてタオルで内と外を拭いた。

以後、何とか車窓の風景を楽しむ事ができた。

 

只見線に多くの観光客を呼び込むためには、窓の汚れを取り除き常に透明感を保っておくばかりでなく、撥水コートなどを施し、どのような天候でも車窓から風景を見えるようにしておかなければならないと思う。

 

 

柳津町と三島町の境界になっている滝谷川を渡る。渓谷は水墨画のような趣きだった。

会津桧原を過ぎ「第一只見川橋梁」を渡る。

視界が悪く“湖面鏡”も現れなかったが、白黒の濃淡と奥行きを感じる情緒ある車窓の景観は味わい深い。

 

 *以下、各橋梁のリンク先は土木学会附属土木図書館(http://www.jsce.or.jp/library/archives/index.html)「歴史的鋼橋集覧

 

 

会津西方を過ぎ「第二只見川橋梁」を渡る。

雪の日は護岸のコンクリートも気にならず、この北側の景色も良いものになっていた。

 

...そして、右手を走る国道400号線をよく見ると車と人影があった。

おそらく「撮り鉄」の方々だろう。

 

只見線は国内有数の豪雪地帯を走る。

深々と降りしきる牡丹雪、雪原から舞い上げられる粉雪、木々の枝に被さる大小の雪帽子...この中を疾走するキハ40系の姿は、「撮り鉄」垂涎の的だ。

先ほど通った「第一橋梁」周辺にも多くの「撮り鉄」が居たのだろう。

 

 

列車は深い雪の間を抜けて走る。

青空が広がっていれば、素晴らしい絵になるだろうと想像しながら、車窓を見続ける。

 


会津宮下の手前、県道237号線に架かる宮下橋(上路式RCアーチ橋)。

この列車が渡っている「大谷川橋梁」(上路式RCアーチ橋)、この背部(南)を走る国道252号線に架かる「新宮下橋」(銅製逆ローゼ橋)と合わせ“アーチ3橋(兄)弟”を構成している。

国内で唯一(と宣伝されている)、3つのアーチ橋が一枚の写真に納まる。撮影場所は県道の向こう側にある空き地だという。

この“アーチ3橋(兄)弟”、ありがたいことに、埼玉県が“復興応援”の一環で県職員を派遣し、取材した福島県の土木構造物を紹介するHPに紹介されている。

 

列車は、会津宮下を過ぎ、宮下ダム(東北電力㈱宮下発電所)脇を通る。

県道には除雪車が入っていた。

この県道237号線は冬季閉鎖中だが、おそらくダム管理の都合上、このあたりまでは除雪しているのだろう。

 

車窓から宮下ダム湖を見る。

 

列車は間もなく「第三只見川橋梁」を渡る。振り返り、宮下ダム方面を撮影。

わずかに見える車体に着雪が見られる。

列車は雪の中を、雪を身にまとい疾走しているのだろう。

 

早戸会津水沼の両駅を過ぎ、列車は「第四只見川橋梁」を渡る。

ここにも3人の「撮り鉄」が居た。

この降雪の中、満足できる一枚を撮ることができただろうか。

 

次駅、会津中川の手前で雪の中に人影が。

「撮り鉄」は過酷な趣味である事を思い知る。

 

 

9:49、冬季ダイヤ(落雪、雪崩対策)であるが、定刻に現在の終点・会津川口に到着。

降雪で視界が悪い。

只見町は大丈夫だろうか? 帰りは大丈夫だろうか? と心配になる。

 

多くの乗客に紛れ、駅構内に入る。

金山町観光情報センターが運営する売店に町のゆるキャラ「かぼまる」は居た。

今回も衣類をまとっておらず、缶飲料の保温庫にチョコンと座り、売り子になっていた。

駅構内は人であふれていた。

私は、会津川口駅でここまでの混雑を今まで見たことがない。

おそらく、ほとんどの方が「雪まつり」に行くのだろう。

只見線が大量輸送という鉄道の役割を果たしている瞬間だ。

まずは休日にこのような光景を増やし、平日はツアーなどの企画を誘発させ、鉄道本来の機能を発揮して欲しいと願う。

 

 

現在、只見線はここから只見駅までが代行バス区間となる。

今日は「只見ふるさとの雪まつり」ということで臨時便があるという。この乗客数ではマイクロバス一台ではさばけない。当然の処置だ。

 

駅前には2台のマイクロバスがやってきた。どちらも臨時便のようだ。

10:00、私の乗った「只見エコパーク」のラッピングバスは満席となり出発。

この臨時便、停車“駅”(バス停)はなく、只見駅直通だった。

 

 

バスは国道252号線を南西に下り、約50分で只見に到着。

駅は内外とも人であふれ活気があった。

只見町のゆるキャラ「ブナりん」が駅舎の小窓でスキーをはいていた。

段ボール製のスキー板が微笑ましい。

 

駅前のテントで振る舞われていた甘酒をごちそうになり、雪まつり会場に移動。

会場は駅と役場の間に広がる空き地に設置されている。

 

入場門は熊本城をイメージした石垣の間に設置され、アーチ型のトンネルになっていた。

このような重厚な入場門は今までなかったようで、私もちょっと驚いた。

 

アーチの出口で“雪むすめ”の出迎えを受け、会場に入る。

露店が並び、活気にあふれていた。

なめこ汁のサービスを受け、カウンター脇にある“熊本復興応援”の募金箱に気持ちを入れた。

 

この露店を抜け、巨大かまくらに目を奪われながら、メイン会場に向かう。

広い!

この雪まつりのために空地があると思われるほど、ロケーションも良い。

晴れていれば、雪像の後方に只見四名山の一つ「要害山」を見る事ができる。

 

今年の大雪像は「熊本城」。立派だ。

高さ14m、幅30m。

地元の建設業者などが10tトラック約800台分の雪を使用して構築したという。

 

会場の西と南の二辺には露店が連なる。

“B級グルメ”「マトンケバブ」や清流で育ったイワナの塩焼きや唐揚げなど、只見らしい品々も並んでいた。

露店を一巡りして、冷えた体を温めようと、みそ田楽をいただく。

ほっかほっかのこんにゃくと甘辛い味噌に五感が満たされる。

 

11:30、アナウンスが会場に流れ、“熊本城”前のステージが賑やかになる。

「くまモン」現る!

熊本でも見る事ができなかった日本を代表するゆるキャラに、雪国・只見で出会った。

事前に分かっていたとは言え、感動的な初対面となった。

 

雪を被った「くまモン」。

南国熊本、火の国からやってきた使者は司会者に雪を払われていた。

不思議な光景だ。

肩車され間近で見ていたちびっ子は、この「くまモン」が南国の太陽の下動き回っているとは想像できないかもしれない。

しばらく「くまモン」ショーを見ていたが、体が冷えてきた。

熱燗でもと思ったが、露店ではビールばかりが目立ち、断念した。

休憩所は人であふれていたため、会場を後にした。

 

 

少し遠いが休憩所の一つになっているブナセンター(http://www.tadami-buna.jp/)に移動することに。

巡回バスも走っていたが、雪降る町中を歩いて行った。

時折、足を滑らせながら約20分で到着。二度目になる。

人影が見えず、除雪していたスタッフに確認したところ開館しているとのこと。

入館料を支払い館内に入る。

雪の中を歩いてきたせいか、木製の建材が眩しく感じた。

休憩所を使わせてもらう。開放的で清潔感がある。

誰もおらず、ゆっくりと暖を取った。

入口脇にあるカウンターには電気ポットとドリップコーヒーなどが用意されていた。

私は十円硬貨を二枚ボトルに入れ、ココアをいただいた。

 

体が充分に温まったところで、館内を見学。

興味深かったのは、オオタカのはく製。

2014年5月、田子倉ダム近くの国道252号線上に倒れていたという。

他では考えられないと思い、見入った。

 

1時間ほど滞在し、国道252号線沿いに「マトンケバブ」の店に移動。雪まつり会場の露店では寒いと思い、店舗にした。

「マトンケバブ」をいただき、1階の売店で日本酒などを購入し、駅に戻る。

 

 

14:36発の代行バスに乗るつもりだったが、臨時直行便の大型バスが駅前に横付けされていた。

満席の直行便に乗車。補助椅子に座った。

定刻をわずかに遅れ只見を出発。

 

 

約1時間ほどで会津川口に到着。

入口には、運転見合わせの手書きの張り紙があった。

私がこれから乗る予定の列車(15:34発)は運行されるようだが...。

しかし除雪のため大幅な遅れが見込まれ、発車時刻は不明という。

またしても会津川口駅構内は乗客であふれ、大半が乗車後に良い席を確保しようと入り口に並んだ。

16:10過ぎ『除雪が終わり除雪車を走行線から除ける作業をするので後10分程お待ちください』と作業員から報告があった。

 

16:20頃、『お待たせしました』との駅員の声が掛かり扉が開く。

 

乗客は一列になってキハ40系に乗り込んでゆく。

私は先頭車両に移動し、右側のBOX席に座る事ができた。

 

16:25、発車予定から51分遅れ、列車は出発。

 

列車は快調に走る。遅れを取り戻すためか、若干スピードが出ていると思った。

事実「第四橋梁」の鋼トラスの流れが速かった。

 

会津水沼を出て、“眼鏡橋”を渡る時、上空に青空が見えた。

並走する圧雪に覆われた国道252号線の脇には、またしても「撮り鉄」の姿が。

 

道路に近接、通過する車に背を向ける格好になるため危険ではある。

しかし、この雪の中の“眼鏡橋”と列車は絵になる。

降雪もなく、良い一枚が撮れたのではないだろうか。

 

 

早戸を過ぎ、早戸・滝原両トンネルを抜け「第三橋梁」を渡る。

朝とは逆。南側を撮影。

雪が舞っていないと風景が引き締まる。

 

会津宮下を経て「第二橋梁」を渡る。

この東側の風景には送電線が入り込む。

雪が降るとこの細い線にも降雪するようで、景観を損ねてしまう。

この電線が車窓の景色を邪魔しない方法はないものか。

 

会津西方を出て「第一橋梁」を通過。南側を見る。

ほぼ正面の奥には「第一只見川橋梁ビューポイント」(CとD)に建つ鉄塔が見える。

おそらくこの下にあるBポイントには多くの「撮り鉄」が居るだろうと思った。

 

反対(北)側では、乗客が景色に見入っていた。

只見線は橋梁の上を通過する時、必ずと言っていいほど、車内の窓際でこのような光景が生まれる。

 

 

18:20、予定から約40分遅れて終点の会津若松に到着。

連絡橋を渡り、改札を抜ける。

目の前にホワイトボードが置かれ、駅を訪れる乗客に運休情報を知らせていた。

駅周辺で一杯、と思い駅前を歩く。

駅前通りには蝋燭が灯されていた。

昨日と今日、鶴ヶ城を中心に行われている「会津絵ろうそくまつり」の一環のようだ。

今朝の福島民報の社会面に記事が載っていた。

雪に蝋燭の火は映える。

 

行きたかった居酒屋は『予約してますか?』と満席の模様。

断念し、神明通りを駅方面に歩き、駅に近い店に入った。地酒と郷土料理(鰊の山椒漬け、坂下の馬刺し)などをいただく。

初めて入ったが雰囲気の良い店。もちろん料理もおいしかった。

もう少し居たかったが、最終列車に乗るため切り上げ、会津若松駅に戻る。

 

 

郡山行きは入線していた。

出発は21:01。

しかし、席に座ってまもなく車内放送が入る。

『翁島駅付近の除雪を行うため、列車が遅れます』

 

 

...結局、除雪員のやりくりがうまくゆかないようで代行バスが用意された。

22:10、観光バスに乗り込む。

ほぼ満席の状態で間もなく出発。

磐越自動車道はスムーズに流れ、日をまたぐことなく郡山駅前に到着。

 

乗る予定だった最終電車は、この郡山で東京行きの最終の新幹線に連絡している。

このバスにも東京へ向かう乗客が相当数乗っていた。

JRがどのような対応をしたかは定かでないが、心配になった。

 

 

 

会津若松は観光を主産業の一つに挙げている。

歴史都市・会津と高速鉄道(新幹線)の組み合わせを楽しみ訪日したインバウンドも居るだろう。

気象予報技術が発達した現在、今回のような降雪を想定し、最終列車には必ず乗客を乗せるという対応は可能ではないか。

 

高速道路が通行可能で、並行する鉄道が止まってしまった事も併せて、今回の旅の最後は“福島の観光と雪”について考えさせられた。

只見線の雪は、大きな観光資源だ。

車窓からの雪景色を見るためだけでも、雪の降らない地域や国からの集客を見込める。

東京圏に近く、これほど雪を楽しめる路線は只見線が一番だと私は思う。

更には東北・上越の両新幹線に挟まれているため観光プランに幅ができる。

 

雪害(積雪、落雪、雪崩など)による鉄道障害を排する取り組みは、事業者であるJR東日本だけにまかせるのではなく、福島県と三島・金山・只見の沿線三町を中心に、新潟県や魚沼市にも声を掛け、行政も一体となって進めるべきだ。

 

“雪は観光資源”

この言葉を関係者が共有し、観光鉄道路線・只見線を盛り上げて欲しい。(了)

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

*参考:福島県 「只見線の復旧・復興に関する取組みについて」/「JR只見線 福島県情報ポータルサイト

【只見線への寄付案内】

福島県はJR只見線全線復旧後の「上下分離」経営での維持費や集客・地域振興策の実施費用として寄付を募集中(クレジット可)。

・福島県ホームページ:只見線復旧復興基金寄附金・只見線応援団加入申し込みの方法

 

寄付金の使途は以下の通り。

・お寄せいただいた寄附金は、福島県、会津17市町村や新潟県などで 組織する「福島県JR只見線復興推進会議」で協議の上、只見線の復 旧や利活用促進のため使われます。(「只見線復旧復興基金寄附金募集」チラシより)

・ 寄附金は、只見線を活用した体験型ツアーや周遊ルートの整備、 只見線関連コンテンツの充実化等に活用させていただきます。 日本一と言われるロケーションだけに頼らない観光振興を推進し、 新たな観光収入の増加を図ります。 (「JR只見線企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)の御案内」より)

 

 

よろしくお願い申し上げます。

 

 

次はいつ乗る? 只見線

東日本大震災が発生した2011年の「平成23年7月新潟福島豪雨」被害で一部不通となっているJR只見線は、2017年6月19日に福島県とJR東日本間で「復旧基本合意書」が交わされ、2018年6月15日の復旧工事起工式を経て、2021年度中の全線再開通に向けて工事が本格化しました。ブログでは車窓の風景や沿線の見どころを伝える「乗車記」等を掲載します。

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