只見町「ブナセンター」 2015年 早春

町の一部が「ユネスコエコパーク」に登録された只見町。下車した事が無かった自然首都を掲げるこの町に、JR只見線を利用して訪れた。

 

*参考:

・福島県:只見線ポータルサイト

 ・東日本旅客鉄道株式会社:「只見線について」(PDF) (2013年5月22日)

・拙著:「次はいつ乗る?只見線」カテゴリ ー只見線の春

  

 


 

 

いつものように、磐越西線の始発電車に乗るため郡山駅に向かった。駅前の桜は満開。駅ビルを背景に、よく映えていた。

5:55、会津若松行きの列車は定刻に出発。

  

猪苗代が近づくと、車窓に「磐梯山」と荒起しが終わった田んぼ、山肌のスキー場が見えた。季節の移り変わりを実感。

  

 

 

会津若松に定時着。只見線に乗り換え、現在の終点・会津川口に向かった。   

 

第三只見川橋梁」からは、濃緑の只見川と山肌に残った残雪が見えた。*以下、各橋梁のリンク先は土木学会附属土木図書館デジタルアーカイブス歴史的鋼橋集覧1873-1960

   

会津水沼の手前で、春を待つ下大牧集落を眺めた。

   

 

会津川口に到着。見慣れた光景となった。この先、只見までの27.6kmが「平成23年7月新潟福島豪雨」被害で運休になっている。

 

駅構内には売店があるが、店頭では金山町のゆるキャラ「かぼまる」が、“変装”して出迎えていた。入学式シーズン、このような演出は微笑ましい。

 

また、駅構内には洒落た演出も。パンフレットの文鎮として花をつけた小石が置かれていた。造花だが、気の利いたもてなしにスタッフの暖かさを感じた。

   

駅頭には、「只見ユネスコエコパーク」のラッピングが施された代行バスが付けられていた。

  

 

定刻に出発した代行バスは国道252号線を走り、本名駅前に設置されたバス停を過ぎると、東北電力㈱本名発電所・本名ダムの天端を進む。橋上からは、流失したままの「第六只見川橋梁」が見えた。

   

  

会津蒲生只見の間にある、叶津川橋梁の下を潜り抜ける。列車の撮影スポットの一つ。

 

  

 

ほぼ定刻に只見に到着。只見線はこの先、新潟方面へは運行している。駅舎は雪囲いがされたままだった。後方には、残雪の「要害山」が見えた。

代行バスを降りて、只見ダムに向かって歩き出した。

   

途中、只見スキー場に立ち寄ったが、只見線の踏切を渡ろうとしたところ、大白川(新潟)方面からディーゼル音が。まさかと思い、しばらく待つと、汽笛を鳴らしながら目の前を除雪車が通り過ぎた。

この瞬間も、踏切の遮断機は下りなかった。生まれて初めて見る光景に驚き、しばし呆然とし、除雪車を見送った。

   

 

国道252号線を歩き、電源開発㈱只見発電所・只見ダムに到着。ダムは工事中で排水され、ダム底が露わになっていた。

  

ダム底を流れる只見川の先には、巨大なコンクリートの躯体が見えた。電源開発㈱田子倉発電所・田子倉ダムだ。次に来た時に訪れたい、と思った。

  

 

只見ダムを後にし、国道252号線を只見町の中心部に引き返した。

途中で町道に入り、25分ほどで「ブナセンター」に到着。コンクリート打ちっぱなしの近代的な建物だった。館内に入り「ただみ・ブナと川のミュージアム」を見学した。

   

館内をゆっくりと見学。只見の豊富な動植物の生態ばかりでなく、雪深い只見の、住民と森との共存の歴史も見る事ができる施設であった事に、深い感銘を受けた。

エコパークに認定され、今後多くの観光客が訪れるであろう、只見町の中心となる施設になるのは間違いないと思った。

   

「ブナセンター」の見学を終えて、周辺を歩いた。

  

町営グラウンド付近では、除雪車が動いていた。今朝、郡山駅前で見た桜がウソに思える除雪風景だった。

この後、昼食を取ってから、只見駅に向かった。

   

駅では、併設されている「只見町観光まちづくり協会」のスタッフと話をした。

その後、売店で河井継之助の辞世の句“八十里 腰抜け武士の 越す峠”が記載された手ぬぐいを購入。そして、並べられてパンフレットや只見町関連書籍をながめ、代行バス出発までの時間を潰した。

代行バスが、駅頭に横付けされると乗り込んだ。そして、定刻に只見を後にした。

  

  

国道252号線を進み50分で、会津川口に到着。列車に乗換え、会津若松行きの列車の乗り込んだ。

 

 

 

17:20、会津若松に到着。駅前には、居酒屋のチェーン店の看板が目立っていた。

「観光のまち」を目指しいて欲しい会津若松市には、この景観を改善して欲しいと願う。会津若松の歴史と文化に惹かれてやってきた観光客(特に外国人)はこの光景を見て幻滅してしまうこともある。

 

会津若松は福島県一の歴史・文化財を持つ。これを活かし、集客力を高め、リピーターを増やして欲しい。JR只見線の起点となる会津若松の魅力が増せば、只見線を利用した旅行計画が立てやすくなり、乗客が増えるばかりでなく、滞在時間の増加が見込まれると思う。そうすれば、会津若松に滞在した観光客が、福島全体へと流れてゆくのような仕掛けもしやすくなる。会津若松にはそれだけの潜在力があり、幕末で果たした役割を考えれば、国内に留まらず海外への訴求力もある。“歴史・文化都市”にふさわしい、駅前の景観の改善を強く望みたい、と思った。*参考:会津若松市 景観条例 URL:http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2009020200153/

 

 

(了)

 

 

・ ・ ・ ・ ・ ・

*参考:

・福島県 生活環境部 只見線再開準備室:「只見線の復旧・復興に関する取組みについて」 

・NHK:新日本風土記「動画で見るニッポンみちしる~JR只見線」 

 

【只見線への寄付案内】

福島県はJR只見線全線復旧後の「上下分離」経営での維持費や集客・地域振興策の実施費用として寄付を募集中(クレジット可)。

①福島県ホームページ:只見線復旧復興基金寄附金・只見線応援団加入申し込みの方法 *現在は只見線ポータルサイト「只見線応援団」URL:https://tadami-line.jp/support/

 

②福島県:企業版ふるさと納税

URL:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16005g/kigyou-furusato-zei.html

[寄付金の使途]

(引用)寄附金は、只見線を活用した体験型ツアーや周遊ルートの整備、只見線関連コンテンツの充実化等に活用させていただきます。 沿線地域における日本一の秘境路線と言われる観光資源を活用し、更なる利用者の拡大と認知度向上を図ります。

  

以上、よろしくお願い申し上げます。

次はいつ乗る? 只見線

東日本大震災が発生した2011年の「平成23年7月新潟福島豪雨」被害で一部不通となっていたJR只見線は、会津川口~只見間を上下分離(官有民営)し、2022年10月1日(土)、約11年2か月振りに復旧(全線運転再開)しました。 このブログでは、車窓から見える風景写真を中心に掲載し、“観光鉄道「山の只見線」”を目指す只見線の乗車記や「会津百名山」等の山行記、利活用事業に対する私見等を記します。

0コメント

  • 1000 / 1000