「田代山(高森山)」登山を終えて、JR只見線・会津高田駅で途中下車し、駅前のラーメン店「喜楽屋 神龍」でホルモン焼きを食べた。
*参考:
・NHK:新日本風土記「動画で見るニッポンみちしる~JR只見線」 *2008年放送
・産経新聞:「【美しきにっぽん】幾山河 川霧を越えてゆく JR只見線」(2019年7月3日)
・福島県 :只見線管理事務所(会津若松駅構内)
・拙著:「次はいつ乗る?只見線」カテゴリ -只見線沿線の食と酒- / -只見線の夏-
金山町土倉地区から「田代山(高森山)」登山を終え、「大塩炭酸場」と「大塩温泉」に立ち寄り、最寄りの会津横田駅から只見線の列車に乗った。この駅での乗降は初めてだった。
昨年10月1日の全線運転再開以前、約11年間の不通期間には何度も訪れていた。駅の南側に横田鉱山(1972(昭和47年)閉山)の跡地が近接する特異なロケーションで、レールが夏草に覆われていた時は、住宅地に近接していながら広大な空き地と一体化した草むらに“廃線感”を漂わせていた。
15:02、会津若松行きの列車が会津横田を出発。この列車は小出(13時21分)発で、只見線乗り通しの利用者が一番多くみられる便ということで混雑は覚悟していたが、想像以上の乗客数だった。先頭のキハ110系には通路を含め立客が多く見られた。
後部のキハE120形も、車両の前後に立客が居た。青春18きっぷの夏季利用期間の最終日で、日曜日ということもあり、団体客より個人、しかもシニア層の客が多い印象だった。
私は、この混雑を予測して持参してきた小型のアウトドアチェアを取り出し、車両の隅に小さく座った。
列車は良々子沢橋梁を渡った。左(北側)の車窓から、今日登った「田代山(高森山)」(730m)の尖った山容が見えた。
15:15、会津越川を経て、列車は民宿「橋立」の駐車場端に立つ、只見線(135.2km)中間点を示す看板(ここが、只見線の真ん中だ!)の前を通過。
本名トンネルを抜けた直後に「第六只見川橋梁」渡り、列車は東北電力㈱本名発電所・ダムの直下を駆けた。洪水吐ゲートは閉じられ、落水はすべて発電に用いられているようで、建屋の下に水紋が見られた。
本名を出ると右手に只見川が近付き、「第五只見川橋梁」を渡った。只見川の水鏡は、まずまずの冴え具合だった。*只見川は東北電力㈱上田発電所・ダムのダム湖
15:25、列車は小出行きの下り列車が待つ会津川口に停車。ここで、先頭車両のツアー客と思われる多くの客が降りた。
また、会津川口駅では列車すれ違いで10分停車するため、多くの客がホームに降り写真撮影などをしていた。
ただ、ツアー客があまり乗っていなかった後部車両の混雑は変わらず、私は引き続きアウトドアチェアを使った。
15:29、先に小出行きの列車が出発。キハE120形2両編成は双方とも満席で、立客の姿も見られた。
この列車の、小出到着予定は17時47分。夕暮れに向かう中、乗客には車窓からの景色を楽しんで欲しいと思った。
15:35、私が乗る会津若松行きが会津川口を出発。林道の上井草橋を潜り抜けると、左の車窓から只見川に突き出た大志集落が見えた。川面の一部には波も見え、一面の水鏡とはなっていなかったが、雄大な景色は見ごたえがあった。*只見川は東北電力㈱上田発電所・ダムのダム湖
車内では、“只見線おもてなし企画”として、法被を着たスタッフによる車内販売と沿線の見どころ紹介が地声で行われた。
会津中川を出て、国道252号線と交差した列車は「第四只見川橋梁」を渡った。*以下、各橋梁のリンク先は土木学会附属土木図書館デジタルアーカイブス「歴史的鋼橋集覧1873-1960」/ 只見川は東北電力㈱宮下発電所の宮下ダムのダム湖
会津宮下を出発し会津西方手前で「第二只見川橋梁」を渡った。*只見川は東北電力㈱柳津発電所・ダムのダム湖
名入トンネルを抜けた直後には、「第一只見川橋梁」を渡った。*只見川は柳津ダム湖
上流側、駒泣瀬渓谷の右岸上部にある「第一只見川橋梁ビューポイント」のDポイントに向けてカメラをズームにすると、“撮る人”が一人、こちらにカメラを向けていた。
七折峠を越えて、下り坂にある塔寺を出た列車は、会津平野に入り広大な稲田の間を駆けた。
稲刈りを終えた田もあり、秋の訪れを実感した。
会津坂下、若宮を経た列車は会津美里町に入り、右に西部山地を見ながら南進し、新鶴、根岸で停発車を繰り返した。
17:00、列車は会津高田に停車。列車を降りて、見送った。乗降は私一人だった。
この会津高田駅の駅舎前には、映画「男はつらいよ」の看板が立っている。
「男はつらいよ」の第36作「柴又より愛をこめて」のロケ地であったことを示すもので、旧駅舎での撮影風景の写真が載っていた。*下記事出処:福島民報 2022年10月4日付け紙面
また、この看板を共同設置した「会津新富座と歩む会」が、ロケ地巡りなどの只見線沿線の魅力発信をする活動に取り組むとの新聞報道もあった。同映画では、柳津町でも「福満虚空藏菩薩 霊巌山 圓藏寺」などでロケが行われているということで、どのような広域観光振興につながるか楽しみだと思った。*下記事出処:福島民報 2022年12月23日付け紙面
駅舎を抜け、駅前通りを歩いた。
まず向かったのが、駅頭から看板が見えた「小林食堂」。「男はつらいよ」のロケ時に、寅さん演じた渥美清さんも食事をしたという店。
だが、入口に近づくと、“本日は終了しました”という看板が立てかけられていた。
事前にネットで調べたところ、営業しているはずだったが、スマホを取り出し改めて調べて見ると、“昼のみの営業”と記されたページもあった。店の様子を見ると、それが正しいと思った。
気を取り直して、より駅に近い「喜楽屋 神龍」に向かった。こちらは営業していた。2018年9月以来、2度目の訪問だった。
店に入り、奥の席に座った。この時他に客は居なかったが、まもなく数名が入店してきた。
カウンター席正面の酒棚には、只見線の全駅名が表示されたタオルが張り出されていた。
メニューを見た。悩んだが、前回と同じくホルモン焼きとギョーザ春巻とし、ホルモン焼きは定食にした。
会津高田駅は、今年大沼高校から改称した県立会津西陵高校の最寄り駅ということで、メニューには学割メニューも並んでいた。
ホルモン焼き定食と生ビールが運ばれてきた。
ホルモン焼きは、柔らかいながらも程よい歯ごたえがあるホルモンが、甘めの味噌ダレによくからまっている逸品だ。前回は単品だったが、今回は定食ということで白飯と一緒に食べたが、箸が止まらなかった。
そして、ギョーザ春巻。
パリッと揚がった皮に、肉と野菜のバランスが絶妙な餃子餡との相性は素晴らしく、こちらはビールが進む逸品だった。
高田地区には、白井酒造店と男山酒造店という2つの酒蔵があり、この店には「萬代芳」(白井酒造店)が置かれていた。ホルモン焼きは、味噌ダレということで日本酒にも合うはずで、そのことを厨房にいた女将に話してみると、『うちはラーメン屋だからねぇ...』と言われた。料理は酒のつまみではなく、ラーメンのサイドメニューというのは店の地域性から当然のことで、今日はラーメンが食べられる空腹度ではないこともあり、女将に申し訳ない気持ちになった。
次の機会は、〆にラーメンを食べるつもりで「喜楽屋 神龍」に来ようと思い、店を後にした。
外に出ると、陽が落ちて雲の間から茜色の空が見えた。
駅舎を通りホームに立つと、「磐梯山」がそびえる東の空はより赤みを帯びていた。
待合室で待つこと約30分。すっかり陽が落ちた暗闇の中、会津若松行きの列車が入線した。
先頭のキハE120に乗り込んだが、客は1人も居なかった。この列車は会津坂下発で、この時間帯は“回送列車”とも言えるのでやむを得ない利用状況とは思ったが、やはり残念だった。
18:43、只見線の上り列車が、会津高田を出発。
19:03、会津本郷の直前で会津若松市に入った列車は、西若松、七日町を経て、終点・会津若松に到着。連絡橋を渡り、磐越西線・郡山行きの列車に乗り換え、帰宅の途に就いた。
(了)
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*参考:
・福島県:只見線ポータルサイト
・福島県・東日本旅客鉄道株式会社 仙台支社:「只見線全線運転再開について」(PDF)(2022年5月18日)
・福島県:平成31年度 包括外部監査報告書(PDF)(令和2年3月) 「復興事業に係る事務の執行について」 p140 生活環境部 生活交通課 只見線利活用プロジェクト推進事業
【只見線への寄付案内】
福島県はJR只見線全線復旧後の「上下分離」経営での維持費や集客・地域振興策の実施費用として寄付を募集中(クレジット可)。
①福島県ホームページ:只見線復旧復興基金寄附金・只見線応援団加入申し込みの方法 *現在は只見線ポータルサイト「只見線応援団」URL:https://tadami-line.jp/support/
②福島県:企業版ふるさと納税
URL:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16005g/kigyou-furusato-zei.html
[寄付金の使途]
(引用)寄附金は、只見線を活用した体験型ツアーや周遊ルートの整備、只見線関連コンテンツの充実化等に活用させていただきます。 沿線地域における日本一の秘境路線と言われる観光資源を活用し、更なる利用者の拡大と認知度向上を図ります。
以上、宜しくお願い申し上げます
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