2021年、JR只見線には26回乗車した。今年最後27回目の乗車は、小出から会津若松まで、代行バス区間を含めた全線(135.2km)に乗車した。
当初は27日に予定したが、寒波到来で、日本海側を中心に大雪の予報が出ていたため、2日後ろ倒しし今日乗車した。
今日の予報は、晴れ間が続く時間が長い、との事だったので、車窓から陽光を浴びた雪景色が見られると思い、会津若松駅から新潟駅経由で小出駅に向かった。
*参考:
・福島県:只見線ポータルサイト
・東日本旅客鉄道株式会社:「只見線(会津川口~只見間)復旧工事の完了時期について」(PDF)(2020年8月26日)/「只見線について」(PDF)(2013年5月22日)
・魚沼市観光協会:秘境を行く! JR只見線
・新潟県観光協会:にいがた観光ナビ「JR只見線」
・BSN新潟放送公式チャンネル:【そらなび ~にいがたドローン紀行~】「第73回「只見線(魚沼市)」2020年2月29日放送」
・拙著:「次はいつ乗る?只見線」カテゴリ ー只見線全線乗車ー / ー只見線の冬ー
昨日は、富岡町から移動し会津若松市内に宿泊。今朝、磐越西線の始発列車に乗るために会津若松駅に向かった。若松の雪はそれほど多くなかったようで、駅周辺は30㎝ほどの積雪だった。
青春18きっぷに日付印を押してもらい、磐越西線喜多方・新津方面のホームに向かった。発車を待つ郡山行きの列車の下部には、雪がまとわりついていた。
5:28、新潟行きの普通列車が会津若松を出発。
8:21、新潟に到着。新潟駅は駅舎建替え・高架下開発工事が、2024年春頃の全体開業を目指して進められている。*参考:JR東日本 新潟支社「新潟駅高架下開発の工事着手について」(PDF) (2021年11月25日)
万代口にあった新潟支社(5階建て)を含む旧駅舎は、先月26日までに解体を終えたといい、高架駅舎のホーム階(3階)部分の全体が姿を現していた。
只見線は福島県(会津若松市)と新潟県(魚沼市)結ぶ路線だ。新駅舎が、日本海側唯一の100万人都市・新潟市のターミナルとして人の流れが増加させ、街の一層の賑わいを生み出し活気をもたらすことは、只見線にとっても有意義だと思う。
「平成23年7月新潟・福島豪雨」で只見線が部分運休となった後、新潟~只見間で数多くの臨時観光列車が運行されている。この新しい駅舎が完成した後、全線再開通している只見線に乗り入れる列車が運行され、車窓からの景色に多くの観光客が歓喜することを期待したい。
新潟から信越線・上越線の列車に乗って、長岡で降りて日本酒を購入。その後、上越線の上り列車に乗車した。沿線の雪は、徐々に多くなっていった。
11:09、小出に到着。ホームの除雪されていない部分には、60㎝ほどの積雪があった。
只見線の列車の出発まで時間があったので、小出駅から1.5km離れた場所にある日帰り温泉施設「見晴らしの湯 こまみ」に向かった。
駒見山(262m)の斜面に設けられた小出スキー場のゲレンデ方面に向かう坂道を上って行く。途中、左側に見える、魚沼市街地を取り囲む山々が美しかった。
周囲の家々では、屋根に積もった1mを越える雪を下ろす人影が見えた。
小出駅から1kmほど離れた、小出スキー場のゲレンデ脇に15分で到着。圧雪された路面が滑り、少し時間が掛かった。
この先「見晴らしの湯 こまみ」まで、地図上では道が続いているが、ゲレンデ脇で除雪区間は終わり、1mを越える雪が一面を覆い“通行止め”になっていた。
そこで、近くで家の除雪をしていた方に「こまみ」に行く道を聞いたが、道を引き返し、県道を迂回して行くしかないということだった。ここから約2kmの雪道移動で、時間内に駅に戻る事は厳しいと考え、今回は「見晴らしの湯 こまみ」に行くことを断念した。計画段階で、降雪期には除雪されない枝道がある、ということを失念していた。
列車の出発まで1時間30分。市街地まで足を延ばし、昼食を手に入れる事にした。
駅に戻り駅頭のベンチに座り、スーパー「サカキヤ」のもちぶたのメンチカツを、新潟限定のビールと一緒にいただいた。旨かった。
昼食を終え、一休みしてから只見線のホームに向かった。まもなく、長岡方面からキハ110系2両編成がやってきた。
13:15、只見行きの列車が出発。私の乗った後部車両には8名の客の姿。通常、“青春18きっぷシーズン”では、東京方面からやってきた列車(水上発)から多くの客が乗り込むが、今日は雪の影響で列車の到着が遅れていて、他何らかの理由があったのか、その到着を待たずに発車した。
列車はまもなく魚野川橋梁を渡った。真っ白に冠雪した「越後(魚沼)駒ヶ岳」(2,002.7m、日本百名山)を中心とした山並みが、綺麗に見えた。
全線乗車での、“新潟の酒、福島の酒”。今回、新潟の酒は「北雪」純米酒(4合瓶)。職場に佐渡の方が居て日本酒の話をしていたこともあり、市内5つの酒蔵から選ぶことにし、「北雪」を手に取った。純米酒らしい軽く爽やかな飲み口で、のど越しでほどよい甘みを感じ、豊かな香りが鼻を抜けた。さすが新潟の酒は旨く、外れが無いと唸った。
列車は、藪神手前で「下権現堂山」(896.7m)と「上権現堂山」(997.7m)を見ながら進んだ。
越後広瀬を出ると、うっすらと冠雪した斜面や稜線に、落葉した木々が全面を覆い味わいある景色を創っていた。
列車は、魚沼田中、越後須原、上条を経て、右ヘアピンカーブを駆けた。田に積もった雪は、美しい曲線美を見せていた。
ヘアピンカーブを抜けると、前方には、「桧岳」(1,383.4m)のから「毛猛山」(1,517m)に続く、荒々しい山塊が見られた。
入広瀬を出発した後、列車が充腹式アーチ橋として国内最大支間の「第四平石川橋梁」を渡ると、右岸の国道252号線柿ノ木スノーシェッドの赤い鋼材は際立って見えた。只見線に沿って流れる破間川は、黒又川合流点より上流部を平石川と呼ばれていたようで、橋梁名に名残りがある。
新潟県側最後の大白川に到着。駅の目の前を流れる破間川に点在する岩は、綿帽子を被っていた。
大白川出発後、列車は破間川支流の末沢川と16回交差しながら進んだ。“会越国界”の六十里越ということで、雪の量は多かった。
スノーシェッド内の「田子倉駅」跡を通過し、余韻沢橋梁上の明り区間から、田子倉(ダム)湖を眺めた。スピードが落ちていたので、「只見ユネスコエコパーク」の大自然の一部を、ゆっくり見る事ができた。
この後、田子倉トンネル、第一赤沢トンネル、第二赤沢トンネル、4基のスノーシェッド、上町トンネルを潜り抜けると、只見町市街地が現れた。
列車は減速し、駅員一人の出迎えを受け、ホームに滑り込んだ。
14:28、終点の只見に到着。
駅舎は1mほどに積み上がった新雪に覆われていた。
ホームから長い連絡道を通り、駅舎を抜けると、会津川口行きの代行バスが停車していた。
14:32、代行バスが只見を出発。客は、私を含め6名だった。
代行バスは、只見川沿いに延びる国道252号線を進んだ。
駅舎を抜けホームに向かうと、キハE120形2両編成がディーゼルエンジンを静かに鳴らし、待機していた。
駅周辺の積雪は、思いのほか少なかった。
15:29、会津若松行きの列車が会津川口を出発。代行バスからの客は全て乗車したようだったが、2両で20名には達していなかった。
まもなく、只見川に突き出た大志集落が見えた。陽が傾いてきていたが、集落を取り囲む景観が青みがかり、良い眺めだった。*ダム湖(只見川)は東北電力㈱上田発電所・ダムのもの
車内で飲む“会津の酒”。今回は、会津若松市の辰泉酒造の「会津流(ながれ)」純米酒(4合瓶)を用意した。飲み口は純米酒らしい軽さを感じたが、のど越しは深みがあり、香りも芳醇だった。要冷蔵を守り、しっかり冷やせば、より旨く呑めるのではないかと思った。会津の酒も、期待を裏切ぬ旨さだった。
会津中川を出発し、「第四只見川橋梁」を渡る。国道252号線の水沼橋の向こうには、会津百名山「三坂山」(831.9m)の山容が、くっきりと見えた。*以下、各橋梁のリンク先は土木学会附属土木図書館デジタルアーカイブス「歴史的鋼橋集覧」
反対側の座席に移動し、下流側を見る。川面の水鏡には空模様な映り込み、静かで穏やかな光景だった。
会津柳津を出発し、会津坂本の手前で柳津町から会津坂下町に入り、七折峠の中にある塔寺を出ると、列車は下り坂を滑るように駆け会津平野に入って行く。前方には、頂上付近が真っ白になった会津百名山「磐梯山」(1,816.2m)が見えた。
会津坂下、若宮を経て会津坂下町から会津美里町に入り、周囲がどんどんと暗くなってきた。新鶴を経て根岸を出て西部山麓を眺めると、会津百名山「明神が岳」(1,074m)の南側に夕焼けの残滓が見え、山々の稜線を浮かび上がらせていた。
列車は、左大カーブを駆け、進路を真南から東に変え、会津高田を経て会津本郷の直前に会津美里町から会津若松市に入った。
17:18、大川(阿賀川)を渡り、市街地の西若松と七日町を経て、終点の会津若松に到着。雪に阻まれることが無かったばかりか、青空の下で只見線全線乗車でき、とても良い旅になった。
連絡橋を渡り改札を抜け、〆の食事をするために、今年も駅前にある「ラーメン 金ちゃん」に向かった。まずは、餃子とビールを注文。焼き上がる頃に冷えたビールが給仕され、嬉しかった。
野菜の食感と旨味ほどよく残った、モチモチの皮に包まれた餡の変わらぬ旨さを堪能し、残り2個となったところで麺を注文。
今年は「ネギ味噌ラーメン」にした。これもまた、旨かった。
餃子+ビール+ラーメンの鉄板メニューで、2021年只見線の旅を〆ることができ、大満足だった。
来年の今頃、只見線は全線再開通している予定だ。11年振りの復旧で、しかも中間区間(只見~会津川口)だけ上下分離(官有民営)されるという、国内無二の歴史的出来事になる。
列車の運行数・区間は運休前と同じと言われ、車窓からの風景も「第七」と「第六」二つの橋梁以外は大きく変化はない。しかし、沿線自治体は人口を減らし、只見線の生活利用は減り、列車内から見える空き家も増えている。観光利用の乗客や、下車した客の滞在時間の増加を着実に実現してゆかなければ、只見線の未来は安泰ではない。
来年も、“観光鉄道「山の只見線」”が国内外の方々に周知され、『只見線に乗ってみたい』『只見線に乗って〇〇を訪れたい』と思い、実行していただけるよう、自分なりに発信を続けたいと思う。
2021年、今年もお世話になりましたJR只見線。また、来年もよろしくお願いします。
(了)
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*参考:
・福島県 生活環境部 只見線再開準備室:「只見線の復旧・復興に関する取組みについて」
・NHK:新日本風土記「動画で見るニッポンみちしる~JR只見線」
・産経新聞:「【美しきにっぽん】幾山河 川霧を越えてゆく JR只見線」(2019年7月3日)
・東日本旅客鉄道株式会社:「只見線(会津川口~只見間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書」の締結について(PDF)(2017年6月19日)
【只見線への寄付案内】
福島県はJR只見線全線復旧後の「上下分離」経営での維持費や集客・地域振興策の実施費用として寄付を募集中(クレジット可)。
①福島県ホームページ:只見線復旧復興基金寄附金・只見線応援団加入申し込みの方法 *只見線ポータルサイト「只見線応援団」URL:https://tadami-line.jp/support/
②福島県:企業版ふるさと納税
URL:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16005g/kigyou-furusato-zei.html
[寄付金の使途]
(引用)寄附金は、只見線を活用した体験型ツアーや周遊ルートの整備、只見線関連コンテンツの充実化等に活用させていただきます。 沿線地域における日本一の秘境路線と言われる観光資源を活用し、更なる利用者の拡大と認知度向上を図ります。
以上、宜しくお願い申し上げます。
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