「玉梨八町温泉」で二つの温泉に浸かった後、JR只見線・会津川口駅前の食堂「おふくろ」で昼食を摂ろうと金山町に向かった。
*参考:
・福島県:只見線ポータルサイト
・福島県:平成31年度 包括外部監査報告書「復興事業に係る事務の執行について」(PDF)(令和2年3月) p140 生活環境部 生活交通課 只見線利活用プロジェクト推進事業
・福島県・東日本旅客鉄道株式会社 仙台支社:「只見線全線運転再開について」(PDF)(2022年5月18日)
・拙著:「次はいつ乗る?只見線」カテゴリ -只見線の冬-
切符を購入し、改札を通り跨線橋を渡った。只見線の4番線ホームには、1両編成のキハE120形がすでに入線していた。
ホームに下りて、列車の乗り込んで唖然。ほとんどの席が埋まっていた。
6:08、小出行き、下り始発列車が会津若松を出発。乗客は私も含めた立客4人と合わせ、37人だった。
「青春18きっぷ」の使用期間を終えたためか日本人は中高年の方が多く、他4割ほどは中華圏のインバウンドと見受けられた。雪景色を求めて台湾からの客は増えるとも言われているいるが、それが実感できる光景だった。
列車が市街地の七日町、西若松を経て、大川橋梁を渡った。
6:42、左に大きく曲がり、進路を再び西に変えた列車は会津坂下に停車。上り一番列車(会津川口発)と交換を行った。
会津坂下を出た列車は、ディーゼルエンジンの出力を上げ右に大きく曲がりながら、七折峠の登坂を始めた。塔寺手前で木々の間から会津盆地を見下ろすが、雲に覆われ何も見えなかった。
会津坂本では、「キハちゃん」が見送ってくれた。*参考:会津坂下町「只見線応援キャラクター誕生!!」(2015年3月13日) https://www.town.aizubange.fukushima.jp/soshiki/2/3337.html / YouTube「キハちゃんねる」URL: https://www.youtube.com/channel/UChBGESkzNzqsYXqjMQmsgbg
柳津町に入った列車が、会津柳津を出ると、柳津スキー場跡上部の山々が朝陽を浴びて、ほんのりと赤らみ美しい眺めだった。
郷戸手前で、“Myビューポイント”を通過。「飯谷山」(783m、会津百名山86座)の山容も、よく見えた。
滝谷を出ると、「第一只見川橋梁」を渡り三島町に入った。*以下、各橋梁のリンク先は土木学会附属土木図書館デジタルアーカイブス「歴史的鋼橋検索」
上流側、駒啼瀬の渓谷を眺める。カメラをズームにすると、正面上方の「第一只見川橋梁ビューポイント」のDとCポイントには、カメラやスマホを構えた多くの“撮る人”の姿があった。
会津西方を出発直後には、「第二只見川橋梁」を渡った。上流側には、「三坂山」(831.9m、同82座)が見えた。
次駅が近付くと、列車はスピードを落とし「アーチ3橋(兄)弟」の次男・宮下橋を見下ろしながら長男の大谷川橋梁を渡った。*参考:三島町観光協会(観光交流館からんころん)「『みやしたアーチ3橋(兄)弟』のビューポイント」(2013年6月16日) URL: https://blog.goo.ne.jp/mishimakankou/e/e93620f5690ee4e3adf6d1124b2f46e5
7:29、会津宮下に停車。中華圏の方と思われる客が降り、駅舎に向かっていった。
7:34、この駅で交換する、下りの2番列車(会津川口発)が姿を現した。
下り列車が入線すると、上り線ホームではこの列車に向けてカメラを向ける方がいた。
会津宮下を出た列車内は、空席もでき落ち着いた。
列車は、東北電力㈱宮下発電所の調整池である宮下ダム湖の右岸直脇を駆けた。
その後、まもなく「第三只見川橋梁」を渡った。
滝原トンネルと早戸トンネルを抜けた列車は、只見川に沿う早戸に停車。
早戸出ると金山町に入り、列車は左に大きく曲がりながら8連コンクリートアーチの細越拱橋を渡った。
会津水沼を出発直後には、下路式の「第四只見川橋梁」を渡り...、
上田集落と東北電力㈱上田発電所・ダムが見えた後、少し進むと只見川(上田ダム湖)が近付いた。左岸の荒らしい山肌は、見応えがあった。*参考:国土地理院「氷河・周氷河作用による地形」アバランチシュート
会津中川を出発し、大志集落の背後を駆けた列車は再び只見川に近づき、減速しながら右に大きく曲がると、後方に只見川に突き出た大志集落が見えた。川の中央には、堆積土砂浚渫用の台船が浮いていた。*参考:福島県生活環境部自然保護課 ふくしまグリーン復興構想「大志集落俯瞰とかねやまふれあい広場からの大志集落」
*参考:東北電力㈱「平成23年7月新潟・福島豪雨」只見川・阿賀野川における対応について(PDF)(平成24年5月30日)
8:05、会津川口に到着。荷物を抱え下車した。反対側のホームには小出発会津若松行きの全線運行下り1番列車が、交換のため停車していた。
駅舎に入り、売店で「赤べこ堂」(柳津町)の杵つき餅を購入。今日はくるみあんを選んだ。また、金山町在住の色鉛筆画家・大竹惠子さんの描く“赤べこサンタ”で、私の気に入っている絵のポストカードが置かれていたので、これも合わせてレジに持っていった。*参考:X 色鉛筆画家 大竹惠子 URL: https://x.com/SrQ9T1aPMqfDD3b
8:15、小出行きの下り列車の出発時刻になると、その様子をカメラに収めたり見送る方の姿が見られた。
私は駅頭に出て、バスの到着を待った。バス停は駅と建物を同じくする川口郵便局の前に置かれている。
これから向かう玉梨八町温泉前を通る川口車庫と昭和村大芦地区を結ぶ大芦川口線は、上下3本が設定されている。3本とも会津川口駅発着の列車と連絡している。*参考:会津乗合自動車㈱ 時刻表「川口~大芦線」(PDF)
8:25、路線バスが、定刻からわずかに遅れやってきて、国道252号線の端に停車した。
私が乗車すると、まもなく路線バスは会津川口駅前を出発。客は私1人で、途中で乗降は無かった。車内には、運賃のクレジットカード決済ができる案内が掲示されていた。会津地方へのインバウンド観光客の増加を実感した。
路線バスは国道252号線から国道400号線に入り、ほとんど雪の残らない道を快調に進み、10分とかからず目的地に近づいた。
8:33、玉梨八町温泉バス停に停車。除雪された路面に降り、路線バスを見送った。
まず向かったのが「八町温泉共同浴場」。国道を少し引き返し、標杭を目印に河岸を下った。
「八町温泉共同浴場」は野尻川の右岸にあり、傾斜のある連絡路は除雪されていた。左岸後方には、青い屋根の玉梨温泉共同浴場が見えた。
バス停から3分ほどで、「八町温泉共同浴場 亀ノ湯」に到着。
短い階段を下り引き戸を開けると、利用者は居なかった。正面の亀を模した木製の像の下の湯管からは、勢いよく温泉が注いでいた。浴室内には、その湯から放たれる新鮮な香りが充満していた。
私は、しばらくこの温泉を独占にゆったりと浸かった。注ぎ込む湯は勢いがあり、源泉掛け流しを五感で感じられた。
【八町共同浴場 亀ノ湯】*調査日:平成29年8月4日
・源泉名:亀ノ湯
・泉質:ナトリウム‐炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩温泉
・泉温:41.8℃
・湧出量:68Ⅼ/min(動力揚湯)
・知覚的試験:無色透明、無臭、弱塩味
・水素イオン濃度:ph 6.1
ただこの共同浴場は、冬場は湯量豊富で源泉温が高い野尻川対岸の「玉梨温泉」から引き湯をして「八町温泉」源泉と混ぜているため、“天然炭酸温泉”は体感できなくなっている。
1時間ほど滞在し、「八町温泉共同浴場 亀ノ湯」を後にした。国道との連絡道を上ると、「布袋尊」様は雪を被っていた。
この「布袋尊」様は、玉梨八町温泉郷の野尻川両岸に立つ“常楽 七福神”の1体。各旅館や温泉施設に1体づつあり、「玉梨湯(玉梨温泉共同浴場)」の下流側には、“湯量が豊富”なためか⁉、3体も立っている。
国道252号線を少し進み右折、弁天橋を渡った。橋上から下流側右岸の恵比寿屋旅館と「八町温泉共同浴場 亀ノ湯」...、
左岸の玉梨温泉共同浴場を眺めた。
そして、上流側には、これから向かう金山町温泉保養施設「せせらぎ荘」が見えた。
「八町温泉共同浴場 亀ノ湯」から5分ほどで、「せせらぎ荘」に到着。
玉梨温泉に軽く浸かった後に、大黒湯に10分ほど湯に浸かったが、浴後しばらく汗が引かなかった。気持ちの良い湯だった。
【源泉概要】
・大黒湯(天然サイダー温泉) *令和6年1月調査
泉質名:含二酸化炭素-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩温泉
湧出量:29Ⅼ/min *動力揚湯
源泉温度:35.8℃
pH:6.2
・玉梨温泉 *平成30年7月調査
泉質名:ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩温泉
湧出量:219Ⅼ/min *動力揚湯
源泉温度:45.9℃
pH:6.4
「せせらぎ荘」を後にしたが、次の会津川口駅方面の路線バスは11時44分ということで、今回はタクシーを予約し会津川口駅に戻った。
10分とかからず会津川口駅に到着。気温はさほど高くなかったが、陽射しが強いせいか、駅舎屋根の雪が駅頭に落ちていて、バリケードが作られていた。
列車の発車時刻までに昼食を済ませようと、駅から国道252号線を歩いてすぐの場所にある食堂「おふくろ」向かった。
国道252号線を只見方面に少し歩くと、店の前に車が停まっていないなど、営業中の雰囲気とは違っていた。
入口に近づいて、唖然。暖簾は掛かっておらず、玄関前には臨時休業の札が“本日終了”と記された立て看板にぶら下がっていた。『あぁ、カレーライスとラーメン...』とため息をついた。
8年ほど前になるが、ここの名物「カツカレーミックスラーメン」を食べ、『次はカレーライスとラーメンを別々に食べてみたい』と思っていて、『今日こそはっ!』と朝食を抜いてやってきたが、また休業だった。
会津川口駅周辺には、より駅に近い「不二家食堂」があるが、一人で切り盛りしている女将が高齢なこともあり、ほとんど営業していないという。実質、ここ「おふくろ」が駅前の唯一の食堂となっている。「おふくろ」で食事が摂れないとなると、駅構内の売店の数少ない弁当やおにぎりか、駅前の加藤商店か押部商店でカップラーメンなどを購入して腹を満たすしかなくなるのが現状だ。
只見線には会津若松発・会津川口行きの列車、会津川口発・会津若松行きの列車がそれぞれあり、また会津川口駅は昭和村への発着点でもあることから、この駅は観光拠点として重要な場所になっている。この会津川口駅前の貴重な食堂として「おふくろ」には、土日休日の昼間帯に店を開いていて欲しい、と今日改めて痛切に思った。
今日は食堂「おふくろ」で、ラーメンとカレーライスを食べようと予定していたので、どうしてもカレーが食べたかった。そこで、駅前の加藤商店で“カレーメシ”を買い、駅舎内で食べた。空きっ腹にカレーがしみ込み、旨かった。
そして、食後のデザートは列車下車後に購入しておいた、「赤べこ堂」の杵つき餅を食べた。初めて食べる山胡桃の餡だったが、コクがあり美味だった。
食後、列車の発車時刻まで時間があったので、国道252号線を会津若松方面に700mほど歩き、「かねやまふれあい広場」に向かった。只見川(上田ダム湖)にダム湖底堆積土砂浚渫の台船が浮かんではいたが、青空の下に広がる光景は素晴らしく、見応えがあった。
この後、会津川口駅に戻り、12時29分発の列車に乗って会津若松市に向かった。
(了)
・ ・ ・ ・ ・
*参考:
・福島県 :只見線管理事務所(会津若松駅構内)
・NHK:新日本風土記「動画で見るニッポンみちしる~JR只見線」
・産経新聞:「【美しきにっぽん】幾山河 川霧を越えてゆく JR只見線」(2019年7月3日)
・東日本旅客鉄道株式会社:「只見線について」(PDF)(2013年5月22日)/「只見線(会津川口~只見間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書」の締結について(PDF)(2017年6月19日)
【只見線への寄付案内】
福島県はJR只見線全線復旧後の「上下分離」経営での維持費や集客・地域振興策の実施費用として寄付を募集中(クレジット可)。
①福島県ホームページ:只見線復旧復興基金寄附金
・只見線応援団加入申し込みの方法
*現在は只見線ポータルサイト「只見線応援団」URL:https://tadami-line.jp/support/
②福島県:企業版ふるさと納税
URL:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16005g/kigyou-furusato-zei.html
[寄付金の使途]
(引用)寄附金は、只見線を活用した体験型ツアーや周遊ルートの整備、只見線関連コンテンツの充実化等に活用させていただきます。 沿線地域における日本一の秘境路線と言われる観光資源を活用し、更なる利用者の拡大と認知度向上を図ります。
以上、宜しくお願い申し上げます。
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