柳津町「会津西山温泉」 2018年 冬

柳津町にある「西山温泉」に行くため、JR只見線の滝谷駅を下車して、自転車で現地に向かった。

「西山温泉」は柳津町の中心部から南に12kmほど離れている。只見線の最寄駅は滝谷(柳津町、6.4km)か会津桧原(三島町、6.5km)だ。

「西山温泉」は旧大沼郡西山村に位置し、1955(昭和30)年3月に河沼郡柳津町と“越郡”合併し柳津町の所在となった。このためか、付近にある東北電力㈱の地熱発電所の名称が「柳津西山」になっている。 

また地元では「西山温泉」で通っているが、山梨県早川町にも同じ“西山温泉”があるため、“会津”を冠した「会津西山温泉」と各ホームページや観光案内パンフ等にされている。“甲州西山温泉”の開湯が705(慶雲2)年で、「会津西山温泉」は717(養老元)年という。ちなみに“甲州西山温泉”にある旅館「慶雲館」は世界最古の宿としてギネス認定されている。

 

「会津西山温泉」の特徴は開湯1,300年の“歴史”と8つの“多源泉”。

今日は時間の制約があり2か所の立ち寄り湯しか利用できなかったが、滝谷川沿いの静けさに包まれた環境で新鮮な温泉を楽しむ事ができた。また、心配された道路の積雪や凍結がなく、只見線から“二次交通”として利用した自転車を快適に進める事ができた。

 

[本日の旅程]

・只見線に会津若松から乗車し、滝谷で下車後に輪行した自転車で移動開始

・「滝谷風穴」の改修された貯蔵室を見る *参考:三島町観光協会公式サイト

・「東北電力㈱柳津西山地熱発電所」冷却塔からの“水蒸気柱”を、砂子原地区から見る

・「会津西山温泉」に行き、「中の湯」と「滝の湯」の立ち寄り湯を利用する

・柳津町中心部に移動して、「柳津ソースカツ丼」を食べる

・「あわまんじゅう」を食べた後、会津柳津から只見線に乗車し帰宅する


 

今朝、磐越西線の始発列車に乗るため郡山駅に向かい、煌々と電灯がついた駅頭で自転車を折り畳み、輪行バッグに入れた。

切符は「青春18きっぷ」を利用。自転車を抱えて、駅員に検印スタンプを押印してもらい、1番線に向かう。

5:55、停車中の列車に乗り込むと、まもなく会津若松に向かって出発した。

列車(電車)は、郡山富田、喜久田、安子ヶ島、磐梯熱海、中山宿と郡山市内の駅を順調にたどってゆく。

沼上トンネルを抜け、会津に入ると一面雪景色。磐梯山も雪に覆われ、中腹から山頂にかけて雲を被っていた為、美しい山裾は見えなかった。

 

7:09、定刻に会津若松に到着。雪は見当たらなかった。

改札を抜け駅頭から駅舎を見る。上空の雲は所々明るくなっていて、天気予報通り会津地方も晴れるだろうと思った。

朝食を購入し、再び改札を通り、只見線のホームに行くために連絡橋を渡る。列車越しに磐梯山を見るが、西側に続く山並みの稜線がわずかに見えるだけだった。

 

7:37、会津川口行きのキハ40系2両編成が定刻に出発。

 

七日町西若松を経て、大川(阿賀川)を渡り、会津美里町に入る。

会津本郷を出発すると、陽の光が所々に届いていて、明るくなってきた。

 

車内の様子。各BOX席に一人ずつ座り、私の乗った車両は10名ほどの乗客だった。

紅葉と積雪の間のこの時期の只見線、私は車窓からの景色が好きだが、一般の方に届くような訴求力を持たない。食事と酒を車内で振舞えるように新造(改造)車両の調達が必要だと思う。

 

列車は会津高田根岸新鶴を経て会津坂下町に入り、若宮を過ぎ会津坂下に停車する。

ここでは会津若松行きの上り列車とすれ違うが、今日は2分ほど遅れたせいで、真横にキハ40系が待機していた。

 

部活動に行くと思われる高校生を降ろし、会津坂下を出発。

しばらく、そして静かに刈田の間を進むと、薄い雲に覆われた七折峠にむかってレールが右に曲がる付近で列車はディーゼルエンジンを蒸かした。“七折登坂”の開始だ。

エンジンの出力をいつ上げるのか、JR社内では規定があると思うが、個人的にはその位置が微妙に違っているという印象がある。この静から動の変化は、会津と奥会津の境を示し、田園から山岳・河川(只見川)の景色の変化を体感させてくれる瞬間でもある。只見線の多様性をはっきりと示してくれるこの音の変化が私は好きだ。

 

 

列車は七折峠内にある塔寺を経て、会津坂本の先から柳津町に入り、会津柳津を出て郷戸手前で、“Myビューポイント”を通過する。

山々はすっぽり雲で覆われていたが、白く明るいので、雪は降らないと思ったが、陽の光も期待できないかもしれないと考えた。

 

8:58、滝谷に到着。私一人が降りた。

駅は1971(昭和46)年まで貨物取扱いをしていただけに3線3ホームを持つ、広い敷地になっている。

駅前の集落は小さいが、駅から南に1.5kmほど行った場所にある滝谷地区は沼田街道の宿場だったこともあり民家が多い。

ちなみに滝谷集落は三島町で、滝谷駅は柳津町にある。この点を考えても、滝谷駅は滝谷地区の住民を意図した駅と言える。

 

ホームで自転車を組み立てて、移動を開始する。

 

県道32号(柳津昭和)線に入り300mほど進み、只見線・滝谷川橋梁の撮影ポイントで、私の乗ってきた列車が会津宮下駅ですれ違う上り列車の通過を待つ。

 

9:22、ラッピング車両を先頭にした会津若松行きの列車が通過する。ちょうど陽が差し、色の落ちた冬景色に、列車が華やかに浮かび上がった。

 

 

撮影を終え、県道を進む。坂を下りながら郷戸スノーシェッドを抜けて、沢を渡ると三島町に入る。

 

このあたりから滝谷川を横に見ながら県道を進む事ができる。

まもなく、前方左に「滝谷風穴」が現れた。

今年、「貯蔵室」は県の補助金て立て替えられ、右に体験室をもった大型なものに変わっていた。現在は積雪に備えて“雪囲い”され、出入り自由な体験室は利用できなかった。

“先代”は貯蔵室だけの小さな、室(ムロ)だった。

この「滝谷風穴」のはす向かい、滝谷川の対岸には細い滝が見られた。

葉が茂る夏場には見えなかったが、なかなか風情ある滝だ。“乾季”に枯渇する事がなければ、滝周囲の枝払いなどをして現出させ、「滝谷風穴」とセットで観光資源として活かせないだろうかと思った。

 

 

県道を先に進み前方が開けると滝谷地区に入り、その中を進んで行く。

 

集落を抜けると滝谷スノーシェッドに側面から入る。

スノーシェッドの上部、T字部分のコンクリート擁壁とその背後にそびえる岸壁など、一度見たら忘れられない景観となっている。

右は県道366号(滝谷桧原)線で、先を進むと国道252号線にぶつかり、左折し駒啼瀬トンネルを抜けると只見線の名所「第一只見川橋梁ビューポイント」(三島町)にたどり着く。

 

  

 

滝谷スノーシェッド内は途中で上り坂となり、抜けて上り続けた後に下り傾向の平坦部があるが、再び柳津町に入り上り坂は延々と続く。

 

小径自転車にはきつい1kmを超える登坂を終え、湯八木沢トンネル(279m)とその両端につけられた湯八木沢スノーシェルターを潜り抜け、長い下り坂を進み湯八木沢地区の中を通る。

湯の岳(729m)の北東に佇むこの集落は、「銀山街道」の合流点になっている。

新湯八木沢橋を渡り左折すると日本遺産「久保田三十三観音」がある久保田地区に向かう県道59号(会津若松三島)線に入る。

 

 

集落を過ぎると、再び上り坂になる。登坂を終え西山スノーシェッドに入る手前で、前方に山々の間に横たわる雲とは明らかに形状の違う“雲”が立ち上っていた。

東北電力㈱柳津西山地熱発電所」の冷却塔から立ち上る水蒸気だ。初めて見る事ができた。

 

 

9:56、西山スノーシェッドを潜り抜け西山大橋を渡る。

橋上から目的地である西山温泉(下の湯、滝の湯、中の湯)が広がっていた。積雪や路面凍結もなく、滝谷駅から近い滝谷川橋梁撮影ポイントから30分で到着することができた。

背後に柳津西山地熱発電所の“水蒸気柱”を見る事ができ、「会津西山温泉」を象徴する景観だ。

 

ここから“山道”を下り温泉街に出る事ができるが、“水蒸気柱”の様子がよく見える場所に行くため、そのまま県道を直進する。

 

 

10分とかからず砂子原地区に到着。坂を上りきった平坦部に広がっている。

県道から町道に入り50mほど進むと柳津西山地熱発電所をほぼ正面に見る場所についた。去年訪れた時に“水蒸気柱”を見るには良いと思っていた場所だ。


冷却塔から立ち上る“水蒸気柱”の様子がよく分かった。

ロケットのエンジン噴出口を逆さにしたような冷却塔。9つの排気口から絶え間なく、豪快に立ち上る水蒸気は、大地の力の巨大さを見せつけていた。

去年、メンテナンス中で停止中の発電所を訪れた時に冷却塔を見て、その大きさに唖然としたが、“水蒸気柱”が噴出していたら壮観だろうと思っていた。

ここから現地までは急な坂を下りて滝谷川を渡り、今度は急な坂を上る過酷な経路で20分程かかる。今日は時間が無く、発電所のPR館が冬期休業中であるため、現地に行く予定は立てなかった。

 

「東北電力㈱柳津西山地熱発電所」は発電用のタービンを一つしかもたない単基ユニットで、運転開始当時は6万kWの“日本一”の出力を持っていた。しかし昨年(2017年)に 『地下から生産される蒸気量の減少に伴い出力が低下していることから(東北電力)』タービンを更新し3万kWの定格出力に変更された。

[東北電力㈱柳津西山地熱発電所 施設概要](出処:東北電力㈱ パンフレット(PDF))

「柳津西山地熱発電所」は東北電力㈱が発電事業者となっているが、蒸気の生産や還元を行う蒸気供給事業者は別で、三井金属鉱業㈱の100%子会社である奥会津地熱㈱が担っている。

山道を上り発電所に近づくと山肌に複数の輸送管が這っていて、生産井や還元井などの各サイトとともに広大な敷地で地球の内部(地下深部1500~2600m)と蒸気と熱水のやり取りをしている。

 *参考:東北電力㈱「柳津西山地熱発電所PR館リーフレット」(PDF)

 

しばらく発電所の“水蒸気柱”を見ていると、後ろから犬を連れた男性がやってきた。

私は挨拶をして、『すごいですねぇ』と水蒸気柱を見ながら声を掛けると、男性は『実は、これを作るのに関わりまして...』と話を聞かせてくれた。

男性は元役場の職員で『これ(地熱発電所)ができれば、地元に仕事が生まれ、元気になるんじゃないかと思って』動き回ったという。真夜中など時間を問わず電話や訪問があったが、一軒一軒歩き回り、書類に印鑑をついてもらい(建設)了解をとっていった、と懐かしそうに話をされた。『苦労したが、こうして動いて、メンテナンスなどの仕事が地元に落ちて、地元のためになっているので、良かった』と言うその姿に、地元を思う元公僕としての迫力を感じた。

地熱発電は東日本大震災後に、世界有数の地熱資源をベースロード電源にできないかと言われていたが、大きな進展は見られない。これは大半の適地が国立公園内にあることや温泉事業者との交渉が長引くためで、“地熱発電は開発コストとリードタイムが長い”という特徴があるからだ。

「柳津西山地熱発電所」は調査開始から17年の時を経て運転開始となり、以後は温泉街を近隣に抱えながら“共存”できた成功例として、地熱発電所誘致を進める際の参考になっているというが、この男性ような方の働きがあったからこそだと、実感できた。

 

私と5分程会話をしていただいた後、男性は犬の散歩の続きをするために坂を下っていった。

「柳津西山地熱発電所」の設置過程について環境省の調査(委託業務)などに詳しく記載されている。

 *参考:

 ・環境省「平成27年度地熱発電と温泉地の共生事例調査委託業務」ヒアリングメモ(柳津町役場)(PDF)

 ・環境省「平成24年度生活衛生関係営業対策事業 地熱発電と温泉地との共生に関する調査報告書」(PDF) *柳津西山地熱発電所p183

 



この後、砂子原集落の中を通り、柳津学園中学校に統合された西山中学校跡の様子などを見てから、坂を下り「会津西山温泉」に向かった。

10:28、滝谷川の両岸に2軒の旅館と1軒の日帰り温泉(立ち寄り湯)がある地区に到着。

 

この滝谷川に掛かる滝の湯橋の周辺には「中の湯」「滝の湯」「下の湯」の3か所の温泉があり、全て立ち寄り湯が可能になっている。

「会津西山温泉」について、今年4月に地元紙で2か所の温泉旅館を取り上げていた。

 *記事出処:福島民友新聞 2018年4月8日付け、同15日付け紙面より

記事によると「会津西山温泉」は会津正統記に717(養老元)年に発見されたと記述されているという。和同開珎の鋳造の9年後という1300年以上昔の事だ。

現在の温泉街となったのは明治時代で、湯治場として栄え、8つの源泉は豊富な湯量があり、源泉は1987(昭和62)年まで柳津町中心部で引き湯として利用され、柳津温泉として福満虚空藏菩薩圓藏寺の参拝者などを癒していたという。いかに湯量が豊富だったかが分かる。

また、それぞれの湯を一巡りすると万病も一遍に治る「神の湯」と言われているが、これは伊佐須美神社(会津美里町)を守護するために大和朝廷が遣わした善波命(ゼンナミノミコト)が、当地の豪族・千石太郎と激しく戦い、その際の傷を癒した伝承に由来しているという。



ここから記事中の温泉旅館の立ち寄り湯に行く。

まずは、橋を渡り、滝谷川右岸にある「旅館 中の湯」に向かった。

引き戸を開け中に入り、声を掛けると女将さんが顔を出した。

立ち寄り湯の利用を告げ、「湯めぐり手形」(柳津観光協会facebook)を購入したいと言うと、帳場からレジ袋を持ってきて4種から選ぶよう促された。表の文字が違ったのだが、私は“自然に生きる”を選んだ。

手形は¥1,000で柳津・西山温泉全11軒の中から3軒に入浴できる。「会津西山温泉」は4軒ある。

手形に通された緑の紐に付けられている紙製のタグの間に3枚のシールがあり、各施設はそのシールをはがし、裏に店のスタンプを押すという仕組みになっていた。

女将さんはスタンプの押印に手間取っていたが、インクが少なかったようだ。

 

受付を済ませ、帳場に隣接したロビーの奥にある男女別の内湯に向かった。源泉は「杉の湯」。

小さな浴室だったが、硫黄分が微かな新鮮な香りがして、入る前から嬉しくなった。

体を洗い湯船に浸かる。かけ流しだが、湯温はちょうどよく、肩まで浸かってもゆっくりできた。ほぼ透明な湯の中には細かな湯花が浮かび、湯の香りとともに温泉を堪能できた。

内湯は滝谷川沿いにあり、窓を開けるとすぐ脇に見え、せせらぎが聞こえた。

柳津町「旅館 中の湯」内湯の主な特徴 *脱衣所掲示「温泉分析書」より引用
・源泉名:杉の湯
・泉質:含硫黄ーナトリウムー塩化物温泉(硫化水素型)
・泉温:61.9℃ (pH6.4)

  

「旅館 中の湯」には内湯の他に、別館に檜風呂と露天風呂がある。上掲の新聞記事の写真は桧風呂で、この2つの湯は¥800で入浴できる(「湯めぐり手形」では利用できない)。

 

「旅館 中の湯」を後にして、対岸はす向かいにある「滝の湯旅館」に向かう。

  

「滝の湯旅館」の玄関。引き戸を開け声を掛けると、ご主人が出てこられた。

「湯めぐり手形」を渡すと押印し、温泉の場所を教えてくれた。

ロビーを抜け廊下を進み、階段を降りると、手前に露天風呂、奥に男女の内湯の入口がそれぞれあった。

利用者は私一人で、貸し切り湯状態だった。源泉は「荒湯」。

“滝の湯”というだけあって、大きな窓からは滝谷川に注ぎ落ちる長く細い滝を見る事ができた。開放的で風情のある内湯だと思った。

湯の特徴は、湯の花の多さ。この事を知らないと『掃除しているの!?』を思ってしまうが、湯の新鮮な香りと肌触りからは新鮮そのものの湯であることが分かった。

窓からの景色を見ながら、一人ゆったりと浸かることができた。時間があれば、もっと居たかったが、それは次回の楽しみにしたいと思った。

柳津町「滝の湯旅館」内湯の主な特徴 *脱衣所掲示「温泉分析書」より引用
・源泉名:荒湯
・泉質:含硫黄ーナトリウムー塩化物温泉(硫化水素型)
・泉温:71.0℃ (pH6.5)

 

露天風呂は、内湯とつながっておらず、混浴になっている。女性の専用時間帯も設けられているようだが、かなり“開放的”なので、男性でも勇気がいるかもしれない。

次は紅葉時に訪れ、星を見ながら浸かってみたい。

 

「会津西山温泉」には、他に旅館は「老沢(オイザワ)温泉旅館」「旅館 新湯(シンユ)」、立ち寄り湯は「下の湯」「せいざん荘」がある。そのうち「老沢温泉旅館」と「せいざん荘」は「湯めぐり手形」が使える。

最後に8つの源泉とそれが引かれている温泉(旅館)を記す。

【8つの源泉と使用先】
「神の湯」:(なし)
「荒湯」:せいざん荘、旅館 新湯、旅館 中の湯、滝の湯旅館
「中の湯」:旅館 中の湯
「新湯」:旅館 新湯
「老沢」:老沢温泉旅館
「杉の湯」:旅館 中の湯
「滝の湯」:滝の湯旅館
「下の湯」:下の湯



11:25、「滝の湯旅館」を出る。

これから、柳津町中心部で昼食を摂って、13:23会津柳津駅発の列車に乗るため、自転車を急ぎ走らせた。距離は約12km。

  

「会津西山温泉」から町中心部に向かう道は、「滝谷風穴」の先から滝谷駅の間の上り坂以外、下りが多く快適に自転車を走らせる事ができた。小径の自転車でも大きな負担が無かったので、景色の良さから、素晴らしいサイクリングコースだと思った。

滝谷駅を超えてから小野川橋、小郷橋、川口大橋で渡河する際に見下ろす滝谷川は、只見川が柳津ダム湖となった付近に注ぐため、川幅が広く池のようになっていて良い景観となっていた。

 

 

国道252号線と合流するT字路を左折し、緩やかな坂を上ると松倉トンネル手前の滝谷川橋上から東北電力㈱柳津発電所・柳津ダムが見える。

トンネルを抜け、少し坂を上ると町中心部まで続く下り坂となる。大きな赤べこが出迎える。

 

途中、国道を右折して町道に入り、昼食場所と決めていた食堂に向かう。

「かあちゃんのまんまや」が見えてきたが、車が止まっておらず、怪しい雰囲気だった。

入口に近づき貼紙を見て唖然。手書きで書かれたそれには“土・日 定休日”となっていた。

急ぎ、スマホで柳津町観光情報サイトを見ると『定休日 土、日曜日』になっていた。

公的機関のサイトで確認すれば良かったと後悔する。

 

気を取り直して、次の店に向かう。

 

12:13、役場と駅の間にある「キッチン柳」に到着。営業していた。

店頭のショーケースには食品サンプルではなく、“赤べこ軍団”とメニューが掛かれた黒板が置かれていた。店名と店頭の様子は柳津町の店である事を強烈に主張していた。

引き戸を開け、店内に入る。天井が高く、広々としていて明るい空間だった。洋食店の名にふさわしいと思った。先客は食事を終えまもなく退店方も含め2名。

メニューは、「ソースカツ丼」に決めていた。さっそく注文。

 

まもなく、サラダとスープが運ばれてきた。野菜はシャキシャキで、コンソメスープは深みのある味だった。メインへの期待が高まる。

15分ほどでソースカツ丼が運ばれてくる。紛れもない「柳津ソースカツ丼」だ。

キッチン ノエル」のように、洋食店なので平皿と思っていたが丼で驚いたが、見た目は洋食の外観だった。

カツは衣にザラツキが無く、ソースはさらっとしたもので、小鉢にはからしではなくマスタードが盛られていた。

 

箸をつける。卵焼きは良い加減に半熟で均等な柔らかさだった。その下にはキャベツの千切りが静かに眠っていた。

カツは衣が薄く柔らかでソースがしみこみ、厚いながらしっとりとした肉に離れず混然一体となっていた。

このカツと卵焼き、キャベツを一緒に食べる。....旨い! カツが柔らかく抵抗なく噛めるので、卵焼きの濃厚な風味とキャベツのシャキシャキ感が、それぞれに良さを出していてそれが実感できた。

「柳津ソースカツ丼」は「キッチン柳」で5軒目となったが、各店のレベルの高さと工夫を痛感するとともに、ご当地食として広く勧められると改めて確信した。

 

 

満腹となって「キッチン柳」を後にしたが、食後の甘味は別腹。これまた柳津町の名物「あわまんじゅう」を求めて坂を上る。

新年7日に「七日堂裸詣り」が行われる福満虚空藏菩薩圓藏寺を見上げながら進む。

 

「はせ川屋菓子店」の前を過ぎて、「いなばや菓子店」に到着。私の好きなつぶあん入りはここでしか買えない。

お茶を出されて、5分ほど待つと蒸したての「あわまんじゅう」と、大栗まんじゅうが用意された。茶色の大栗まんじゅうも、ここの名物だが、今回初めて注文した。

 

 

まんじゅうを手に、そのまま会津柳津駅に向かう。

駅頭で自転車を折り畳み、輪行バッグに入れて、自動販売機でほうじ茶を買いホームに行く。

ベンチに座り、温かい「あわまんじゅう」をいただく。

いつも通りの旨さ。あわの食感と全体の柔らかさ、そしてつぶあんの風味が口の中に広がる。ここでしか食べられない限定感が、いっそう満足度を上げ、次回も必ず食べたいと思ってしまう。

そして、初体験の大栗まんじゅう。食べて、驚いた。栗は名の通り大きいのだが、白あんとの相性が素晴らしい。栗は適度な硬さがありホクホクとしている。『これは、これは』と心底感心してしまった。柳津町に来たら外せない逸品がまた増えた。

 

あわまんじゅうを2ケ、大栗まんじゅうを1ケ食べて、しばらくすると列車がやってきた。

13:24、会津若松行きの列車が出発。

 

この列車は、私が往路で滝谷まで乗り、会津川口で2時間53分待機し折り返してきた車両だ。「平成23年7月新潟・福島豪雨」被害で分断されている只見線だが、運休前のダイヤがそのまま利用されると2021年度の全線再開通時も同じ運用となる。往路で利用した会津若松7:37発の列車は、郡山から利用する私にとって貴重な列車なので、小出まで運転延長して、折り返すダイヤにして欲しいと思っている。

 

 

列車は順調に進み、会津坂下を過ぎると徐々に乗客を増やしてゆき、それにつれて車内も賑やかになった。

 

根岸を過ぎると、まだ14時だが、今日は冬至ということもあってか傾きは早く、太陽は西部山麓上にあり、西陽のように強い陽射しを車内に浴びせた。

14:25、終点の会津若松に到着。40分の連絡時間で磐越西線の列車に乗り換え、郡山に向かった。

 

 

16:19、上空が薄暗くなってきた郡山に無事に到着。駅頭で自転車を組み立て、帰宅の途についた。

今回は、天気予報通り天候に恵まれ、積雪や路面凍結を気にせず自転車を運転することができ、予定通り旅程を消化することができた。暖冬の影響だろうか、12月下旬にこの旅ができて幸運だった。 

 


「会津西山温泉」は“多源泉”で徒歩圏内に5つの湯があるという、温泉好きを問わず、魅力的な温泉街だと思う。また、付近には福島県唯一の地熱発電所である柳津西山地熱発電所は“水蒸気柱”やPR館、広大な土地に張り巡らされた蒸気輸送管や生産・還元井など見どころはたくさんあり、「せいざん荘」では食事や休憩ができ、只見線沿線でも観光地として訴求力の高い場所になっている。

 

只見線に乗って「会津西山温泉」に行くには、やはり二次交通の問題が出てくる。

現在、柳津町では「町民バス“ふれあい号”」を運行され、乗車運賃が¥100で、「まちなか線」にいたっては無料という。ただし、「町民バス」というだけあって観光客には不便がある。

①日曜日、祝祭日及び年末年始運休
②駅は会津柳津のみで、観光地までの直通運転が無い。中央公民館にあたる「やないづふれあい館」で乗り換えとなる。

*参考:「滝の湯旅館」ホームページ 「只見線ご利用の際は

 

私はデマンドバスが通年利用できてベストだと思うが、大きな人の流れができていない現状では自転車を二次交通として整備するのが良いと思う。冬場の積雪時に利用できないが、個人の観光客を中心に、細い需要を拾い上げるには適していると思う。

滝谷駅(または会津桧原駅)から「会津西山温泉」までは上り坂が多く、軽量の多段式ロードバイクでは若い男性以外は厳しいかもしれないが、電動アシスト付きのロードバイクならば、性別を問わず幅広年齢の方が快適に移動ができると思う。滝谷川沿いに続く道はサイクリングロードとしても魅力的で、柳津西山地熱発電所まで足を延ばす事も容易になるだろう。

“電動アシスト付き自転車”は会津宮下駅(付近)や会津川口駅、只見駅などで利用可能になっているが、“ママチャリ”型になっている。私は旅行者が日常感あふれた“ママチャリ”乗ろうとは思わないと考えている。おそらく、既設駅での稼働率は高くないのではないだろうか。これがロードバイク型であればどうであろう。自転車に乗り慣れていない方は、少し訓練が必要かもしれないが、二次交通として提示されていれば、躊躇なく利用するのではないだろうか。

電動アシスト付きのロードバイクは15万円前後という価格(同MTBは40万円)だが、只見線の事業として共同購入して価格を下げ、沿線共有化して稼働率を上げれば、費用対効果は見込めるのではないだろうか。利用し易いレンタル料設定や盗難防止、乗り捨て対応、車両の移動など課題も多いが、只見線の二次交通整備と沿線の観光地事情、そして個人旅行の増加に対応するためにも、復旧区間(会津川口~只見)を“上下分離”で所有し経営に関わる福島県が中心となり、電動アシスト付きロードバイクを導入し、二次交通需要を増やし確実で持続的な人の流れを作り、デマンドバス等を追加して二次交通の多様性を実現して欲しい。

 

 

柳津町は奥会津地域の入口で、会津若松に近い事から只見線に乗って気軽に行ける場所でもある。二つの県立高校を持つ会津坂下駅(会津坂下町)を過ぎると乗客数と運賃収入が一気に落ちる只見線の現状を考えても、柳津町の沿線の観光資源の魅力を高め発信することは重要になってくる。

町の中心部にあり、会津柳津駅から徒歩圏にある「福満虚空藏菩薩圓藏寺」や「あわまんじゅう」「柳津ソースカツ丼」の各店舗、「柳津・西山温泉」の立ち寄り湯などは魅力と実績があるが、只見線の集客には今一つ力を発揮していないと感じている。

私は、今日訪れた「会津西山温泉」や先月訪れた「銀山峠」「久保田三十三観音」など、駅から遠い自然の中にある観光地と町中心部の観光資源を組み合わせ、“旅の最後は温泉に入り、会津の地酒を!”とすることで只見線の乗車のインセンティブが付き、訴求力が高まると考えている。

 

会津柳津駅や滝谷駅の乗降客が増えれば、その先の三島町、金山町、只見町への乗客の流れなどの波及効果も表れ、“上下分離”となる現運休区間を含めた奥会津地域の只見線沿線の活性化が期待できるのではないだろうか。

今日の「会津西山温泉」への旅は、それが絵空事ではないと思えるものとなった。

 

私は今後も引き続き只見線に乗って観光地を巡り、その資源の可能性を考え、訴求力を高め集客に繋げる方策を自分なりに提案してゆきたいと思う。

(了) 

  

・ ・ ・ ・ ・ ・

*参考:福島県 「只見線の復旧・復興に関する取組みについて」/「JR只見線 福島県情報ポータルサイト

*参考:政府 インターネットテレビ「見どころたくさん 福島に来てくなんしょ!」(2017年1月26日)

 

【只見線への寄付案内】

福島県はJR只見線全線復旧後の「上下分離」経営での維持費や集客・地域振興策の実施費用として寄付を募集中(クレジット可)。

・福島県ホームページ:只見線復旧復興基金寄附金・只見線応援団加入申し込みの方法

 

寄付金の使途は以下の通り。

・お寄せいただいた寄附金は、福島県、会津17市町村や新潟県などで 組織する「福島県JR只見線復興推進会議」で協議の上、只見線の復 旧や利活用促進のため使われます。(「只見線復旧復興基金寄附金募集」チラシより)

・ 寄附金は、只見線を活用した体験型ツアーや周遊ルートの整備、 只見線関連コンテンツの充実化等に活用させていただきます。 日本一と言われるロケーションだけに頼らない観光振興を推進し、 新たな観光収入の増加を図ります。 (「JR只見線企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)の御案内」より)

よろしくお願い申し上げます。


次はいつ乗る? 只見線

東日本大震災が発生した2011年の「平成23年7月新潟福島豪雨」被害で一部不通となっているJR只見線は、2017年6月19日に福島県とJR間で「復旧基本合意書」が交わされ、2018年6月15日の復旧工事起工式を経て、2021年度中の全線再開通に向けて工事が本格化しました。ブログでは車窓の風景や沿線の見どころを伝える「乗車記」等を掲載します。

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