東京圏からの誘客

東京圏とJR只見線

“世界の東京”を中心とする東京圏(一都三県=東京・埼玉・千葉・神奈川)は、巨大な人口を抱えています。

日本人に生まれたならば一度は『東京に行きたい』と思い、夢を叶える場・力を試す場・生きるための場として移住する国民も数多くいます。

この動きは、人口減少時代に突入しても当分変わり事がなさそうです。

東京圏が持つヒト・モノ・カネの力は、しばらく衰えそうにありません。

地元紙では“東京一極集中続く”と伝えています。

出処:福島民報 2017年4月15日 紙面

福島県は、この東京圏に関東三県(群馬、栃木、茨城)を挟んで位置しています。

東京圏の持つパワーが直接的に及び得る、地政的に恵まれた自治体です。

福島県の中央に位置する郡山市(東北第三の都市)と東京圏の大宮駅(さいたま市)間が、東北新幹線で1時間前後で移動でき、“通勤圏”内に入っています。

【参 考】

郡山駅(福島県の中央にあり経済交通の中心都市)と大宮駅(東京圏の東北の入り口)間の東北新幹線の主なダイヤ。

 *大宮⇔東京 26分(東北新幹線)/ 大宮⇔新宿 40分前後(埼京線、新宿湘南ライン)


【東北新幹線 最速】 

(上り)郡山駅 11:30発 ~ 大宮 12:22着 52分

(下り)大宮駅 10:06発 ~ 大宮 10:58着 52分

【東北新幹線 通勤】 

(上り)郡山駅 7:04発 ~ 大宮駅 8:10着

(下り)大宮駅 7:06発 ~ 郡山駅 8:21着


【東北新幹線 始発】

(上り)郡山駅 6:12発 ~ 大宮駅 7:18着

(下り)大宮駅 6:30発 ~ 大宮駅 7:24着

【東北新幹線 終電】

(上り)郡山駅 22:24発 ~ 大宮駅 23:18着

(下り)大宮駅 22:10発 ~ 郡山駅 23:07着

東京圏に“近接”した福島県にあるJR只見線も、この“近さ”を享受できる環境にあります。

普通列車(鈍行列車)を利用しても、日帰りで周遊旅行が可能です。

上越線・水上駅と小出駅を結ぶ列車が一日5本と少ないため、上野出発が早朝になり、上越線・小出駅で約2時間の連絡時間があるという旅になります。只見線内の運休区間は代行バスを利用します。


JR只見線は東京圏から普通列車で日帰りの周遊旅行が楽しめる路線です。


また、JR只見線の両端には高速鉄道(東北・上越新幹線)も通じているため、旅のプランの幅が広がります。

【只見町、会津若松市観光 JR只見線日帰り旅程(案)】

東京 6:08(発)

 ↓ (上越新幹線)

浦佐 7:36(着)  7:46(発)

 ↓ (上越線)

小出 7:55(着) 7:58(発)

 ↓ (只見線)

只見 9:15(着)

 只見町 観光:2時間10分

只見 11:25(発)

 ↓ (只見線 代行バス)

会津川口 12:15(着) 12:25(発)

 ↓ (只見線)

会津若松 14:27(着)

 会津若松市 観光:4時間37分

会津若松 19:04(発)

 ↓ (磐越西線)

郡山 20:13(着) 20:42(発)

 ↓ (東北新幹線

東京 22:00(着)



『日帰りではなく、一泊してゆっくりと只見線沿線を旅したい』という場合、JR東日本の「週末パス(¥8,750、新幹線は別途特急料金)」を使う方法があります。


東京を起点に東北・上越新幹線に挟まれたJR只見線は、「東京圏周遊の旅」が容易に実現できる環境にあります。


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東京圏の総人口は3,612万人。

この100人に一人、1%でも36万人となります。

仮に、JR只見線の運休区間(会津川口~只見)に、東京圏の1%の方々が乗車した場合、

運賃500円 × 361,200人 =  180,600,000円

となり、約1億8千万円の運賃収入となります。



地域の貴重な“足”を住民だけで守ることはできない時代です。

しかし、東京圏の巨大のパワーを取り込むことができるJR只見線は違います。


東京圏からの誘客に努め、乗客を増やす


JR只見線の全線復旧後の“復興”は東京圏の誘客の成否に掛かっています。


“乗る”を楽しむ時代/JR只見線と「四季島」

移動手段ではなく“乗る”を楽しめる列車が増えてきました。

JR只見線にも「トロッコ列車」や「SL」が運行しており、磐越西線(会津若松~郡山)には2015年から福島県産の果物などを使ったスイーツを提供する「フルーティアふくしま」が運行を開始しました。

*出処:河北新報 2015年3月28日付け紙面より


同じJR東日本管内には、そのほか様々な“乗る”を楽しむ列車が運行されています。


参考:JR東日本「楽しい列車ポータル


このような“乗る”を楽しむ列車の中で輝きを放っているのが、JR九州が2013年から運行を開始させた「ななつ星in九州」です。

高級ホテルの設備が列車になったような車両で、寝台列車ではなく「クルーズトレイン」と呼ばれています。


初回のツアー(2013年10月)では、1泊2日で1室2人が約40万円などから料金設定がされましたが、7倍を超える倍率となり、3泊4日で1室2人約120万円のデラックススイートが76倍となりました。

この人気はいまだ衰えず、富裕層を中高倍率が続いているようです。


この成功に続こうと、JR各社も「クルーズトレイン」の導入を決定しました。


JR東日本は今年(2017年)5月に、「トランスイート四季島」を運行させました。

そして、5月7日の朝、「トランスイート四季島」は1泊2日コースの一部になっている会津若松駅に入線しました。

地元紙ではこの様子を大きく伝えていました。

*出処:福島民報 2017年5月9日付け紙面より

この「四季島」の会津若松コースは、中央本線に乗り入れ山梨県、長野県、新潟県を通って会津若松に入ります。




もし、只見線が復旧して、全線運行可能となっていたら「四季島」は只見線に乗り入れていたのではないか?


JR只見線沿線は、これが『あり得た』と思わせるほどの車窓からの風景の美しさと、それを引き立たせるせる静寂があります。


JR只見線は“乗る”を楽しめる路線であり、クルーズトレインとの相乗効果は図りしれません。


JR只見線は、単なる復旧ではなく、路盤や設備を強化して“「四季島」の乗り入れを可能にする”復旧を目指すべきです。


「四季島」は定期的に東京圏の乗客を運び、沿線に人の流れを生みます。

「四季島」に乗りJR只見線の風景に触れた乗客が、リピーターとなって再び訪れる、“宣伝者”となり只見線沿線に訪れる事を他者に勧めるなど、更なる人の流れを生み出す可能性があります。



また、前述した「ななつ星in九州」では、コースとなった沿線の特産品が注目され売り上げを上げるという地域経済への波及効果が見られています。

参考:「運行2年、快走「ななつ星」 沿線から九州全体に経済効果」(2015/10/16、産経ニュース)



JR只見線の復旧を目指している福島県を中心とした沿線自治体は、復旧後に「四季島」が乗り入れるよう知恵を絞ってほしいと思います。


JR只見線に「四季島」が乗り入れさせる目標は分かりやすく、福島県民をはじめとした多くの「只見線応援団」を惹きつけるばかりでなく、復旧後の“復興”や沿線振興というJR東日本が懸念する課題の解決策の一つになります。


『JR只見線に「トランスイート四季島」の乗り入れを!』


この大きな目標に向かって、関係者にはJR只見線の全線復旧とその後の復興に取り組んでもらいたいです。



“乗る”を楽しむ志向は今後も増えこそすれ減りはしないでしょう。

JR只見線にとって、“乗る”を楽しむ人の増加は喜ばしい事で、活かさない手はありません。


まずは「四季島」の乗り入れ。


JR只見線は可能性のある鉄路です。


新しい“只見線専用車両”を作る

「四季島」がJR只見線に乗り入れ、東京圏の乗客を運んでくる。

この目標とともに、新しい観光列車を作るという夢を持つこともあってもいいのではないでしょうか?


自然、そして会津地方の日本酒ということで、既に新潟県内の走っている「越乃Shu*Kura」を小出経由で会津若松まで乗り入れてもらう事は不可能ではないかもしれません。

*参考:JR東日本 新潟支社 「越乃Shu*Kura

しかし、無二の沿線風景と、人のいない山間部を静寂に包まれながら走るというJR只見線の魅力を堪能できる“只見線専用車両”が必要です。

ここで一つの案があります。


「読書列車」

ターゲットは大人。より静寂を楽しんでもらうために主に平日運行する。

BOX席ではなく一人か二人掛けの長時間座っても疲れない椅子を設置。

窓は大きく取り、車両の前後にはスペースいっぱいのディスプレイを設置。通行はディスプレイの両脇から行う。

このディスプレイには先頭車両につけられた180℃俯瞰カメラの映像を映す。画質は8Kを目指す。

3両編成で、両端は“読書車両”で中央にロビー車両。会津を初めとした福島の地酒を楽しめるバーを設置してもよい。


運行区間は上越新幹線・浦佐駅からJR只見線をゆっくり進み、会津若松を経由、東北新幹線・郡山駅までの208.1kmを5時間で結ぶ。

浦佐発でも郡山発でも、JR只見線の風景を楽しめるよう2編成用意できればよい。


車両は、最近投入された「リゾートしらかみ」の新型車両のようなハイブリットや、現在JR只見線を走っているキハ40系を改造したものが考えられるが、復旧までは時間があるので新たな車両が出てくるかもしれない。


山間部を走り、小さな集落を縫うように通り抜け、聞こえるのはディゼール車のエンジン音とレールを通り過ぎる規則的な音。

平行して走る只見川はダム湖が連なり静寂に包まれ、“湖面鏡”に映し出された四季折々の風景は、目を休めさせ気分をリフレッシュさせてくれる。


JR只見線は読書をするには絶好の環境を提供してくれます。


JR只見線に「読書列車」。

是非、検討して欲しいものです。



今までは“超赤字路線”だったかもしれませんが、JR只見線を観光鉄路に指定し、民間・行政が一つとなりアイディアを出し合い、よりより案を実行してゆけば、乗車数・率の向上や沿線の交流人口拡大に伴う経済効果を生み出し、全体として赤字を埋め合わせてゆけるはずです。

“専用列車”はその案の一つです。



東京圏の方々が『JR只見線に乗りたい!』と思える“専用列車”の出現を願います。



*参考:東洋経済 鉄道最前線「新潟の「ぶっ飛んだ」列車はこうして生まれた」(2017年1月11日)